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【第2部】リアル×ネットの共通ID基盤事例から読み解く未来の顧客体験とは 

株式会社エスキュービズム
Partner Alliance本部 Partner Alliance部
平田 依里朱

エスキュービズムの平田です。よろしくお願いします。本日は『リアル×ネットの共通ID基盤事例から読み解く未来の顧客体験とは』というテーマでお話しさせていただきます。



会社概要

 弊社は2006年にECの構築パッケージの開発会社として創業し、その後2010年にタブレットPOSを開発しました。その頃から、ECのデータとリアルのデータを一元管理する、オムニチャネルの基盤をご提供しています。また、2014年にはものづくりの事業にも進出、家電をエスキュービズムブランドで発売し、楽天、Amazon、Yahoo!で1位を取ったこともあります。ものづくりやシステム以外に、コンテンツマーケティングやデジタルマーケティング領域でも事業展開しています。

取引実績としては、たとえばある眼鏡専門店様では、全店舗に弊社のタブレットPOSを入れていただいています。また、ECサイトの集客施策としてオウンドメディアを立ち上げたり、羽田空港に入っているポータルWi-Fiの受け取りロッカーを開発したりと、ソフトウエアやハードウエア、そしてアイデアやクリエイティブといった専門領域のノウハウを持つ当社ならではの幅広い実績を持っていることが特徴です。


2019年のトレンド

2019年のトレンドについてお話する前に過去を少しだけ振り返りたいと思います。2011年は、ソフトウエアが小売りを飲み込むとよく言われていました。その後、小売りは死んだ、アマゾン・エフェクトなど、ネガティブな言葉が世の中に出回っていました。しかし、最近はニューリテールという言葉が注目されてよく使われています。また、アマゾン・エフェクトについても、Amazonに対して免疫があるアマゾン・プルーフという会社も出てきて取り上げられるなど、最近は比較的ポジティブな言葉が多くなっています。

現在はeコマース3.0の時代と言われていますが、このパーチェスファネルが上下反転していると言われています。今までWEBで認知させて店舗で購入させていたものが、最近はWEBで認知して、興味関心を持った人がWEBで比較検討し、WEBで購入するという、全てWEBで完結する時代になってきています。認知から購入までの距離も非常に短くなり、さらにeコマース業界は、全てが買い物体験になる時代になると私たちは考えています。インスタグラム、Facebook、メッセンジャーなど、いろいろなものがコマースに繋がる時代に入ってきています。これを「X Commerce(クロスコマース)」と私たちは呼んでいます。

 未来のeコマースとして注目のトピックをご紹介しましょう。今までeコマースで課題となっていたものに「匂い」があります。昨年リリースされたフィールリアル・マルチセンサリー・マスクは、実際にデジタルで「匂い」を再現するソリューションです。さらに「感覚」というところも、デジタルにおいては課題となっていましたが、スイスの大学が開発した、このグローブを付けることによって、実際に物体を触ったかのような体感が得られます。そして3Dプリンターも開発が進み、靴や車なども印刷できるようになってきています。今はラストワンマイルという物流の問題がありますが、WEBで注文して、欲しいものが家のプリンターで印刷できれば物流の問題さえクリアしてしまいます。そのような時代がもうすぐ来ると言われています。

オンラインショッピングに関して、「BUYからSHOPPINGへの変革」と私たちは言っています。より体験を重視して、いかに購入までのプロセスを短くして、購入しやすく、かつ、人間らしさをデジタルでうまく表現できるか。これがどんどん追求されていくと考えています。

 それではリアル店舗は必要ないのでしょうか。もちろん小売企業の売り上げは、店舗のほうが圧倒的に高いと言われています。ただ、本年のNRFのリテールビッグショーにおいて、いろいろなセミナーやテック企業様が出展されていましたが、そこで取り上げられたキーワードは「OMO」でした。OMOとは「Online Merges with Offline」、オンラインとオフラインの融合のことです。また、昨年に引き続き、カスタマーエクスペリエンスも注目されていました。ただ、これは大きな言葉ですので、少し絞らせていただきます。一つ目は店舗のデジタル化、二つ目はAIなどを使ったパーソナライズ化に絞られるかと思います。2019年現在、私たちが商談していたり、水面下で進めたりしているプロジェクトでは、購入のシームレス化に特化した店舗や、セルフレジ、セミセルフレジなどの案件が非常に増えています。

アリババの未来型スーパーで有名なフーマー・フレッシュのCEO、ダニエル・チャンさんのお言葉で、「ここ数年でデジタルを経由した売り上げが60~70%上がった」というお言葉が印象に残っています。今までデジタルはリアル店舗の敵と言われていたところが、今はOMO。いかにデジタルをリアル店舗で生かしていくかということが、より重要な時代となっているのです。


開発中の体験型コマース

 最後に私たちが開発している体験型コマースについて、お話ししたいと思います。あらゆるものがコマースに繋がる5Gの時代がもうすぐ来ますが、モノがインターネットに繋がると、そのモノもコマースに繋がるようになり、あらゆるものが買い物体験につながる時代となっていきます。たとえば什器×サイネージ×コマースです。これは実際に接客ツールとしても使っていただけますし、新たな店舗の形と捉えることもできます。店頭に置いた什器にサイネージが入っていて、ECサイトを展開し、坪単価無限大の売り場で商品を売ることができます。今まで場所の制約や在庫の制約があったところを、このサイネージシステムが解決し、販売のあらゆる機会のロスを防ぐことができると考えています。

 動画×コマースも開発しています。スマートフォンで使うことを想定していますが、動画に触れば、その場で商品をその場で買うことができます。従来Facebookなどの広告で流れている動画を見て購買させるには、リンク先のECサイトに遷移してもらう必要がありました。動画コマースの特徴は、この遷移が必要なく、画面内で触ってから購入するまで、最短約1分でモノが買えるということです。

 また、動画コマースは販売ツールとしてだけではなく、ここからデータを取ることができます。この動画コマースにはヒートマップがあり、どこがよく触られたか可視化されるため、動画コマースのソリューションを経由して、実はこの商品も売れる、実はこの動画は購入に繋がらない、ということが判断できるようになります。

VRコマースも開発しています。VRの力を使い、ブランドイメージの表現や実店舗のデザインそのものをWEBブラウザで再現できるソリューションになっています。これまでのECの課題として、楽しくワクワクする買い物体験ではないというお話がよくあったと思いますが、VRの強みを活かし、店舗でしか味わえなかった臨場感を、WEBでも仮想体験できるのです。CGであれば、ジャングルが店舗になったり、島が店舗になったり、海の中が店舗になったり、アイデア次第で新たな店舗の形を作ることができます。


まとめ

 これからのリテール企業様は、データ一元化によるマルチチャネル、マルチデバイスの活用を通じて新しいカスタマーエクスペリエンスを提供し、お客様をファンにさせる。お客様のロイヤリティーを向上させ続けることが重要だと思っています。

さらに今後は5Gが出ることによって、VRや動画、什器またはあらゆるものがコマースに繋がり、オンラインとオフラインのショップの形が多様化すると考えています。

今は時代の変化が非常に激しいと思いますが、リテール企業様の課題に対して、エスキュービズムだけで解決できるものは減ってきています。そのような中で1対1ではなく、皆で考えて解決していこうという考えの下、昨年リテールイノベーションコンソーシアムを立ち上げました。ここではよくある講演会やネットワーキングだけではなく、システムベンダー発ということで、実際に実証実験を行い、POCでものを作り、最後にシステムを構築するところまでコミットしたいと思っています。ご興味のある企業様は是非一度ご連絡いただければと思います。

https://retail-innovation-consortium.jp/

株式会社エスキュービズム  平田依里朱
株式会社エスキュービズム 平田依里朱