
「LINE課金対策を意識したLINE×CRM施策の鉄板パターンをご紹介」
シナジーマーケティング株式会社
AD2推進グループ リーダー
光山 誠一
LINE公式アカウント統合に伴い、LINEのメッセージ配信による課金は、「友だち数」から「通数」に変更されました。通数課金を前提にした、メッセージ配信においては、従来の一斉配信ではなく、顧客データを活用した配信を意識する必要がとなります。
本セッションでは、通数課金の対策としての顧客データの活用、企業様が今取り組むべきLINE施策の成功事例をご紹介します。
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会社概要
会社概要です。シナジーマーケティングは、「顧客とのシアワセな関係が、ビジネスを成長させる。」というスローガンを掲げております。CRMといわれる企業様と顧客との関係性を構築している企業です。昨今ですと既存顧客様にメールを届ける内容もあれば、広告運用、アプリプッシュなど、幅広いクロスチャネルのCRMをご支援しております。
2014年に買収総額約92億円のTOBにより、ヤフーのグループ企業となりました。5年間ヤフーの100%子会社として、広告を中心とした集客施策からCRM活動までの包括的な支援を行い、知見を蓄積してきました。しかし弊社を退任した創業者が経営に復帰することになり、夏に弊社全株式をヤフーから買い戻しました。創業者が自腹を切ったという噂もささやかれています。そのような珍しい経歴の会社です(笑)。
実績をご紹介いたします。ソフトバンクホークス様の既存ファンの方々とのタッチポイント設計などをご支援しております。ほかにも「伝え方」のご支援も行っております。実績ですと、単品通販の「すっぽん小町」様のメールライティングのご支援を行っておりまして、ライティングを改善するだけで年間2000万円のインパクトを出す成果を上げております。
自己紹介
自己紹介をさせていただきます。光る山と書いてミツヤマと申します。本日は大阪から来ておりまして、シナジーマーケティング現在は大阪と東京の二本社制ですが、大阪発の起業でもともと大阪が本社でした。私も大阪生まれ、大阪育ちです。もともとトランスコスモスという会社でWEB広告のプランニングをやっており、その後シナジーマーケティングでCRM領域のご支援をしております。
「LINE×CRM」でLTVを高める
本日は「LINE×CRM」という話ですが、LINEを活用し既存顧客との関係を構築し、ライフタイムバリュー(LTV)を高めていこう、という目的がございます。
マーケティングの課題は、新規顧客獲得、効率化、LTVと考えられておりまして、なかなか広告の効率化が改善しにくい部分がございますので、既存の会員様との関係を高め、LTVを上げる点にシフトしていこう、と考えられる企業様が増えております。
LINEのインパクトは非常に強く、約8200万人の会員様がおり、アクティブユーザー数が非常に多いのが特徴です。既存の会員様へのメッセージも届きやすく、ユーザーにとっても企業様の情報をスマートフォンで収集するためにLINEはとても活用されています。
LINE公式アカウントの一本化とは?
LINEの公式アカウント一本化とCRMについてお話させていただきます。
公式アカウントの一本化を行うことで、CRM領域においてビジネスのチャンスと脅威が生まれています。
まず、公式アカウントの一本化についてご説明いたします。今までハイレア―な大企業様の公式アカウントがあり、それとは別で『LINEビジネスコネクト』、『LINEカスタマーコネクト』という専門サービスがありました。公式アカウントと『LINEビジネスコネクト』に共通するのはどちらも企業規模が大きい会社様向けのメニューになっており、公式アカウントですと月額数千万円、『LINEビジネスコネクト』ですと月額50万円と費用が掛かる特徴がございました。『LINE@』であればEC事業者様やスモールビジネスの皆様もスムーズに使えるという特徴がございました。それらが一本化するというお話です。
一本化することにより、今までできなかったLINEの機能が利用できるようになります。ビジネスチャンスがある一方で、なぜLINEは公式アカウントを一本化していくか?という点も押さえておかなければなりません。
LINEのIR資料を見ていきます。LINEのディスプレイ広告、LINE公式アカウントの課金がコア事業で構成されています。公式アカウントの売上というのが今伸びてきています。もう少し紐解いていきましょう。LINEは主要KPIというものを発表しています。主要KPIで公式アカウント数を追っています。従来の旧公式アカウントと『旧LINE@』はその利用社数が大きく異なります。旧LINE@の数を公式アカウントへ移行し、ここでマネタイズすることにより、公式アカウントの金額を大きく伸ばそうとしているわけです。
今まで『LINE@』を使っていた方にもしっかり金額を取っていく、つまり、LINEがCRM領域に対し本気でマネタイズしていることがLINE公式アカウント一本化の背景です。
新料金体系の課金対策がなぜ重要なのか
LINE公式アカウントの課金対策が非常に大切になっていきます。今年の2月で新料金体系に完全に移行しております。新料金体系の課金対策がなぜ重要なのでしょうか?
ライトプラン、スタンダードプランと書かれているのですが、ポイントは追加メッセージ料金です。ライトプラン月額5000円、スタンダードプラン月額1万5000円なので「そこまで掛からないな」と思いがちなのですが、追加メッセージ料金1通3円、1通5円というのが非常にくせ者です。
過去の料金では友達数に応じて課金だったものが、新料金では通数課金になります。配信が増えれば増えるほど料金が高騰します。そうなりますと、一定会員数を持っている企業様がLINEメッセージ配信をやっていこうと考えますと、非常にコスト高騰のリスクが高まります。
例えば、5万人いる会員様に月10回メッセージ配信を行うとしますと、なんと配信料金は100万円を超えてしまいます。CRM施策で月100万円を超えるというのは非常に高額です。効果のインパクトは母数が増えれば増えるほど上がりますが、その分コストは高騰しますので費用対効果のコントロールは非常に難しくなります。課金対策としては、コストを抑制して効果を高めることが大切になります。
コストを抑えて効果を高める「セグメント配信」
さまざまな施策があるのですが、本日はいくつかに絞ってお話していきます。まず、LINEの魅力は、LINEチャットとは1to1トークです。個別トークに関しては課金対象外になります。そこに誘導しましょう、というお話です。
次にアカウントを分ける方法があります。自社でブランドに分けてアカウントを作ることが可能なため、分けて超過料金を抑える施策です。
このあたりは企業様の方針で可能かが分けられてしまいますので、本日はセグメント配信に絞ってお話を進めていきます。
セグメント配信は汎用的ですべての企業様で活用できる施策です。セグメント配信とは、ユーザーを絞ってユーザーに合った配信をしていくものです。
一斉配信とセグメント配信を比較すると、弊社では9倍実績が違ってきます。なぜセグメント配信が課金対策になるかといいますと、課金対策としては通数を抑えたいところがありますので、ユーザーを絞りピンポイントのメッセージを送ることにより、その1メッセージの効果を高めましょう、というものです。配信対象数は減らしつつ、配信数は増やしながら効果を維持するという考え方です。
『LINE@』によりメッセージが乱立するのを防ぎ、通数の単価を上げることによりセグメント配信を増やし、ユーザーにとっても良い状態をつくることが可能になる、というのがLINE側から見たセグメント配信のメリットだと思います。
LINEはブロックされやすいため、課金対策あるなしに関わらず、企業様はセグメント配信を活用された方が良いと思います。全体の10~20%のアカウントがブロックされているとも言われておりますが、LINEはメールや他媒体と比べブロックされやすい特徴があります。通知が来る、捨てアドレスが使えませんし、プライベートな空間だからです。解決策として、企業はユーザーにとって有意義な情報を届けていくことが大事になりますので、どの観点からもセグメント配信は有効です。
ここまでのまとめです。LINEを活用したCRMが普及していき、LINEの配信コストは高騰していきます。その施策としてユーザー1人ひとりに合わせたセグメント配信が効果的です。
「セグメント配信」の3つのポイント
ここからは、LINEセグメント配信のポイントを3つお話していきます。
ポイント1つ目は、顧客データを活用するという点です。
LINEのセグメント配信は大きく分けて2つのやり方があります。やり方の1つは、LINE公式アカウントのデータを使う方法です。年齢、性別、地域の推定、友達にいつなったか、を活用し配信することができます。
やり方の2つ目は、皆様の顧客データを活用しセグメントしていく方法です。CRMの観点ではこの顧客データが大切です。顧客データ活用のメリットは、「この商品を買っている方にこのLINEを届けよう」「来店した方にお礼のLINEを送ろう」というように配信することが可能な点です。これはLINE側では持っていない情報になりますので、企業様が持つ情報をいかに活用できるかがポイントになります。これをサポートするのが『LINE Messaging KPI』という仕組みでして、旧LINEビジネスコネクトです。これは、LINEがデータを持つ窓口を開放しますので、そこに顧客データを連携させるものになります。LINEは個人情報を直接的には持ちませんが、色んな企業様が持つデータベースと連携することで識別子を送り込み、LINE側でも顧客をセグメントして配信が可能になる仕組みです。これを活用することで、LINEが保持していない情報でセグメント配信ができます。
ポイントの2つ目は、自動配信を組み込んでいく仕組みです。ユーザーを絞って配信するデメリットは手間が掛かる点です。ユーザーを絞り、その方の情報を追い、その方に合った内容を考え、入稿しなければなりません。あらゆるパターンで行おうとしますと手間が掛かり、スピードも担保できません。
それを解消するのが、自動配信です。顧客データを活用し、このような条件の方が来たら自動で配信をする仕組みで、一度設定すれば送信可能になります。この自動配信をおすすめする理由は、LINEの即時性と相性が良い点です。LINEはプッシュ通知が来ますのですぐに見てもらいやすく、即時性に優れていると言われています。LINEの開封は配信後30分以内が50%、当日中が70%とも言われ、多くのユーザーがその日中に見てくれます。工数を考えると毎日セグメントメールを送っていられませんので、自動で配信することが大事になってきます。
3つ目のポイントは、セグメント配信の費用対効果の試算です。よくある失敗例なのですが、ユーザーにとって最適なメッセージとなるように、条件分岐をすることです。「購入金額が1万円以上で、5回以上買われている方」などです。絞り過ぎて10万人いる会員の中で3人しか送れませんでした、ということがよくあります。もう1つよくある失敗例は、セグメントをするために他社に依頼し、3か月ほど期間を要し、やっと配信できたケースです。これは、配信工数とインパクトが合っていないということを示しています
LINEでいうコストとは、メッセージ配信と配信の工数です。インパクトとは、配信数、反応×利用期間です。例えば、コストが5万5000円で、インパクトが18万円の場合、ROASは350%です。この数字が自社ビジネス的にどうなのかを考え、セグメントしていく必要があります。
さまざまなセグメントをしたいと思いますが、我々がおすすめしているのは、数字の観点を取り入れていただき、対象数と反応率、どれだけの工数が掛かるのかを試算し、優先度を決めていただきながら進めていただくのが良いかと思います。
ここまでのまとめです。顧客データを活用する、自動で配信を組み込む、セグメントの費用対効果を試算する。ここが重要です。
セグメント配信を有効活用する、6つの施策
ここからはどのような施策があるのか、具体的な施策例をもとにご紹介していきます。まずセグメント配信の考え方ですが、LINEで反応が良いのはクーポンなどのお得な情報です。LINEはクーポン文化が進んでいます。そういった内容に馴染んだ文章が見られやすい傾向があります。ビジネスによってはクーポンが使えないものもありますが、特典、プレゼントなどの表現を変えていくと良いでしょう。
よく使われる施策例1つ目は、誕生日LINEです。LINEの即時性と非常に相性が良く、誕生日クーポンや特典を送る施策がございます。コンタクト用品の企業様はこういった施策をよく行っております。その日に送信もしますし、その月にも送っておき、クーポンの有効期限が切れますよ、と送っておくと効果が出やすくなります。
2つ目は、初回購入後LINEです。初回はお試しで高額は使ってはいないけれども、気に入っていただければ継続していただきやすいため、初めて買っていただいた方にお礼と次の商品のアクションを誘導する施策です。
3つ目は、離脱ユーザー向けLINEです。サイト来訪した方を起点とし、広告でなくLINEで行う施策です。サイトに来ているということはユーザーの購買意欲も上がっています。そのユーザーに絞り込み、後日LINEを送ります。
4つ目が、カゴ落ちLINEです。カートに入れてはいるものの、その後アクションしていない方に向けた施策です。こちらもEC事業者様にとって非常に効果が出やすい施策です。
5つ目が、離反客向けLINEです。これは最終購入日が結構空いてしまっているユーザーに対し、離反しそうなタイミングで送るLINEを組み込んでおく施策です。某求人広告企業様はよく使われています。最終購入日や最終利用日でセグメントを行えば、行いやすい施策となっています。
6つ目は、ポイント失効LINEです。得するより、損失してしまう方が人は気になってしまう生き物ですので、その思考を活かし、「もったいない」と思わせアクションさせる施策です。
今お話している施策は、実はLINEだけでなくメールでも効果が出ている施策です。即時性ではLINEが優れているのですが、考え方は大きく変わらず、ユーザーに合ったタイミングで役に立つ情報を送る、というのが配信の重要なポイントとなります。
セグメント配信のボリュームを増やすには
ここまでお話していて、「セグメント配信って送る母数が少なかったら意味がないのでは?」と感じている方が多いのではと思います。ここでは、セグメント配信のボリュームを増やす方法についてもお話いたします。
セグメント配信のボリュームを増やすには、2つの方法があります。当たり前のことですが、LINEは友達数が多ければ多いほど配信数が増えます。さらに、セグメント配信ができる前提条件は、友達と顧客データが紐づいていなければなりません。考えなければならないのは、LINEの友達を増やす方法と、その友達と自社の顧客データをいかに紐づけるか、の2つの観点が大切になります。
LINEの友達を増やす方法
まず、LINEの友達を増やす方法です。皆様もすでに取り組まれているかと思いますので割愛しますが、友達を増やすための方法1つ目として、スマホやPC向けWEBサイトにQRコードを載せるなど、導線をしっかりつくることが大事です。
2つ目は、LINEの抽選機能を活用することです。この機能を使うとユーザーが簡単に応募することができ、すぐに友達追加へ誘導できますので、ADDIX様などキャンペーンが得意なベンダー様にご相談しますと、友達がより増えやすいと思います。
3つ目は、ソウルドアウト様のお話にもありましたが、CPF(Cost Per Freinds)広告の活用です。LINEの広告で友達獲得課金というものがありますので、これを有効活用し友達を増やすことが可能です。
CPFのポイントを補足しますと、LINEで友達になると最初からすぐにブロックしてしまう方がいます。すぐブロックされないようクーポンを渡し、少しだけ期間を空けて再度クーポンなどの特典をあげますということを匂わすことが大事になります。
友達と自社顧客データを結びつける方法
次に、友達と自社顧客データを結びつける方法です。紐づけるにはコネクトという方法を行わなければなりません。LINEのリッチメニューにID連携が書かれており、それを押すと企業様のフォームに飛び、入力をするとコネクトが完了します。この問題点は、ID連携やコネクトという表現がユーザーに見えてしまうという点です。
友達と自社顧客データを結びつける方法の1つ目は、ユーザーにとって自然な状態で連携することです。このポイントは、友達になったときが連携しやすい傾向がありますので、ID連携しフォームに飛び入力したら特典がもらえますよ、という見せ方が非常に良いかと思います。
2つ目は、リッチメニューで新規顧客向けなのか既存顧客向けなのか、ターゲットが明確にすることです。某企業様の事例では、新規顧客と既存顧客で実際に分けて表示しています。ここまで行いますと誘導がしやすくなります。
3つ目は、LINEのログインの活用です。自社サイトでログインする際にLINEログインを取り入れていただき、LINEログインするときに友達追加とコネクトを一緒に行う施策です。そのような方法も合わせ、企業様の顧客データと紐づけていくことが大切になります。
靴のヒラキ様の事例:WEBのCRMの実績が昨対比2倍以上に
最後に事例をご紹介しましょう。靴のヒラキ様の事例です。靴を手軽な価格で通販している企業様です。課題としては、商品が安いため、販促費用があまり掛けられない点ですそこでメールとLINEで施策を打ったところ、WEBのCRMの実績が昨対比2倍以上の成果を出すことができました。
行った施策は、既存の会員様に対しさまざまなセグメントでLINE、メール配信を行いました。さらにLINEログインを取り入れ、既存の会員様にLINE、メールも送れるようにいたしました。ほかにもカゴ落ちメールやカタログを請求した方にLINE、メールを行う、2回目購入の誘導LINE、メールを行うなど、効果的なセグメントを費用対効果を試算しながら取り組んでおります。
ほかにも、LINEとメールの併用も行い、全員に送る際はメール、特定のユーザーにはLINEというようにチャネルの費用対効果を意識し活用しております。基本的にはメールを配信し、反応がない方にはLINEをお送りすることで、費用対効果をマルチチャネルで高めることに成功しています。いきなりLINEを送るとブロックされてしまう可能性もありますので、メールで様子を見て、反応が良ければLINEをする施策も行っております。
LINEセグメント配信の重要な点をまとめますと、顧客データを活用し、その顧客データを自動運用で配信します。また、費用対効果を試算することもお伝えしました。また、セグメントの対象者を増やし、LINEとメールを併用することが大切なポイントです。
『Synergy!』というCRMシステムができること
LINEだけでCRMを行おうとしますと、配信、インフラ、知見の課題が出てきます。シナジーマーケティングはその課題に対し、『Synergy!』というCRMシステムで解決に導いております。6000件ほどの企業様に導入いただいており、月1万5000円から使えるツールになっております。顧客データの管理とそのデータをLINEやメール、アプリ、広告につなげていくクロスチャネルの配信機能を持っております。ほかにも、カスタマーサクセスにも力を入れており、人的なサービスも充実しております。CRM施策のコンサル、メールのライティング代行、LINEの公式アカウントの運用を行う部隊もおりますので、トータルでご支援することが可能です。
販売パートナー様も募集しておりまして、我々は個人情報の管理権限を付与することができますので、広告代理店様は個人情報に触れずにシステムを運用し、クライアント様にサービスを提供することができます。
「LINE×CRM」はこれからも非常に発展していく領域だと思います。一緒にこの業界を盛り上げていきたいと思っておりますので、ご質問やご相談などお気軽にいただけたら幸いです。ご清聴いただき、ありがとうございました。