
よなよなエール流 ファンとの絆づくり
株式会社ヤッホーブルーイング
よなよなピースラボ(CRM設計・CXデザイン)
ラボ長
佐藤 潤
2000年にカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)に新卒入社。
インターネット事業部にて事業の立ち上げや、インターネット事業部の宣伝責任者などに従事。
2012年にヤッホーブルーイングに中途入社。通販部門・プロモーション部門・ファンベースマーケティン部門の部門長を歴任。
現在はCRM設計・CXデザインを探求する部門にて、オンライン・オフライン問わないファンとのコミュニケーション施策の企画や運営に携わる。
「よなよなエール」「インドの青鬼」「水曜日のネコ」「僕ビール君ビール」などのクラフトビールを製造・販売するヤッホーブルーイングのオフライン×オンライン問わないファンとのコミュニケーション施策についてお話いたします。
目次[非表示]
- 1.自己紹介
- 2.会社概要
- 3.日本のクラフトビールを代表する『よなよなエール』
- 4.マーケティングの目線で考える「ファン」の存在
- 5.ヤッホーブルーイングのDNA
- 6.購入後のお客様の気持ちを表す5つのフェーズ
- 7.個性的でオリジナリティ溢れた製品開発
- 8.ターゲットに寄り添うテイストとデザイン
- 9.尖ったターゲッティングで刺さる層を明確に
- 10.より近くの方を獲得し、ジワジワとファンを獲得していく
- 11.「カエル捕獲」プロモーションでSNSを盛り上げる
- 12.ロイヤルティーによってファンイベントを3つに作り分ける
- 13.見学では製品への熱い思いを必ず伝える
- 14.クイズでファン同士の距離を近づける宴イベント
- 15.キャンプ場を貸し切り1000名のファンが参加する『よなよなエールの超宴』
- 16.「自分ごと」にさせる経営戦略イベント
- 17.ファン自らが開催する「ファン宴」
- 18.年間1万人を動員するファンイベント
- 19.お客様の気持ちの構成比、分布を把握しコミュニケーション施策に活かす
- 20.知人・友人から誘われて参加する方は驚きの3割
- 21.まとめ
自己紹介
初めまして、ヤッホーブルーイングの佐藤と申します。本日はオンライン、オフラインを超えたファンの方とのコミュニケーションについてお話させていただきます。
まず自己紹介させていただきます、ヤッホーブルーイングの佐藤潤と申します。弊社はニックネームで呼び合う会社でして、社内では「ジュンジュン」と呼ばれております。もともと東京の町田出身で、2012年に初めての転職でヤッホーブルーイングに入社いたしました。そのタイミングで、Iターンで住まいを東京から軽井沢に移しております。
前職ではネット関係のキャリアがありましたので、ヤッホーブルーイングに入社した際は通販事業、プロモーション事業、その後ロイヤルティーマーケティングを担当し、現在はCRM設計・CXデザイン部門の責任者を任せていただいております。
会社概要
会社紹介です。株式会社ヤッホーブルーイングは1997年に軽井沢町で創業し、クラフトビールの製造、販売をしております。フラッグシップのビールは『よなよなエール』でして、コンセプトが家庭で飲める、手軽な本格エールビールとなっております。
23年前、当時まだエールビールやクラフトビールという文化が日本の市場になく、いつかおいしいエールビールが日本の食卓に並ぶといいなと夢見て、毎夜毎夜エールビール、つまり『よなよなエール』というネーミングとなっております。
我々は非常に和の要素を大切にしており、このラベルも花札をモチーフにしております。
弊社は「ビールに味を!人生に幸せを!」というミッションがございます。我々がアクションを起こそうと思った際は、必ずこのミッションに紐づいているのか確認をしており、我々の大切な心の拠り所です。非常に大切にしております。
具体的に申し上げますと、「画一的な味しかなかった日本のビール市場にバラエティを提供し、新たなビール文化を創出する。そしてビールファンにささやかな幸せをお届けする。」というのが我々のミッションとなっております。
日本のクラフトビールを代表する『よなよなエール』
もう少しだけクラフトビールの話をさせてください。ビールには種類がございます。我々はスタイルと呼んでいるのですが、実は世界には100種類以上の種類があります。スライドにピルスナービールと書かれているのですが、日本に流通しているビールをグローバル基準であるスタイルで括ると、ほとんどがラガービールの中のピルスナービールという種類のみです。オリオンビール様を含めた大手5社のビールでは99%がラガービールです。我々が生産しているクラフトビールはわずか1%しかありません。この1%の中に我々を含めるクラフトビールのブルワリーが400社ほど含まれております。その中で我々はトップシェアを持ちながら15期連続で増収、増益を遂げております。この成長を支えてくださっているのがファンの皆様です。本日は弊社がどのようにファンとコミュニケーションをしているか、獲得しているかをお話したいと思います。
マーケティングの目線で考える「ファン」の存在
なぜファンが必要なのかマーケティングの視点で考えますと、2つ理由があります。1つが売上や収益を支えてくれる存在だからです。上位10%のお客様で売上の約65%を占めております。2つ目は、新しいお客様を口コミで連れて来てくれる、という点です。「よなよなエール」をまだ知らないお客様へダイレクトマーケティングでアプローチをするのですが、それと同時にファンの方が「よなよなエール飲んでみたらどう?』や『よなよなエールのイベント行ってみようよ」というようなオーガニックな口コミを広げてくださいます。
ヤッホーブルーイングのDNA
次に我々のDNAについてお話いたします。弊社は軽井沢で創業し、最初の3年くらいは当時流行した地ビールブームがあったため売上が好調でした。その後からシュリンクしていき廃業寸前にまで落ち込む時期がありましまた。当時やれることが少なかったため、唯一取り組んでいなかったインターネット通販をスタートいたしました。全国にいらっしゃるファンの方と直接つながり、「おいしいビールをつくり続けてほしい」というお言葉をいただき、そこから回復した背景があります。ファンの方の市場がなければ成長はありませんし、社員のモチベーションを上げてくださる存在ですので、会社のカルチャー、DNAとしてを大切にしてきたのはこういった経緯からだと感じております。
購入後のお客様の気持ちを表す5つのフェーズ
我々は買った後のお客様の気持ちには5つの層があると考えております。
1つは、まず買ってみるお客様です。2つ目はお得だったら買うお客様です。例えばポイントが10倍だから買ってみよう、などです。3つ目は、不満はないけれどロイヤルティーもないお客様です。4つ目は、強いロイヤルティーを持ってブランドを指名買いしてくれるお客様です。そして5つ目の層は、我々は伝道師と呼んでいるのですが、身近な友人にも推奨してくれるお客様です。
3と4には違いがあり、Life Time Valueは変わらないかもしれませんが、明らかに気持ちを持ってくださっています。我々がファンの方とお会いしお話していき紐解きながらカスタマージャーニーを描くようにしているのですが、3と4の大きな違いは我々のミッションに共感してくだっているかどうかだと思います。この会社がつくっている製品、スタッフが本気であることが伝われば応援したいという気持ちになってくださります。会社、スタッフ、ファンのコミュニケーションを通しながらミッションや気持ちを伝えていき、製品が好きという軸と会社が好きという軸を登ってきてもらうということを大事にしております。
個性的でオリジナリティ溢れた製品開発
製品開発についていくつかの視点でお話いたします。我々は『よなよなエール』を中心とした多様で個性的なクラフトビールを開発しています。
当時クラフトビールの中で女性向けのビール製品がなかったため、女性向けにつくっていこうという気持ちから『水曜日のネコ』という製品をつくりました。どのような方に飲んでいただきたいかイメージすることを大切にしており、30歳前後の仕事をしている女性をターゲットにしました。当時、水曜日というのはノー残業デーとも言われていた時代で、週の真ん中の水曜は少し仕事を早く切り上げてホッとした素の自分に戻りませんか?という思いを製品名に込めています。製品の猫のイラストも笑っているような、怒っているような、なんとも言えない素の表情をしています。このイラストの理由も本来の自分に戻って欲しいという思いからです。
ターゲットに寄り添うテイストとデザイン
もう1つご紹介しましょう。『僕ビール君ビール』という個性的なカエルがモチーフのビールがございます。ローソン様限定で販売しているクラフトビールです。ローソン様から「若者向けのビールを開発してほしい」とご相談いただき開発したて製品です。30歳前後の男性にターゲットを絞っていくという作業を行い、ターゲットのインタビューを通し繊細な人物像を作っていきました。当時30歳前後の男性にインタビューをしますと、ビールが苦手な方は「ビールっておじさんまの飲み物で、自分たちの飲み物という感じがしない」と話しており、我々は新たにターゲットに寄り添うビールとして、この製品名をつけさせていただきました。
実際飲んでいただくとわかりますが、このビールはセゾンスタイルと呼ばれるフルーティーなビールです。ベルギー地方でポピュラーなのですが、日本で流通しているビールとは明らかに異なります。30歳前後の男性はゆるキャラが好きというインサイトも出ておりカタツムリなどのイラスト候補もありましたがカエルに決定いたしました。
尖ったターゲッティングで刺さる層を明確に
まとめていきますと我々の製品開発はターゲットを明確に絞っていくことをしております。やはり1%程度の市場しかありませんので、極論100人に一人が熱狂すれば良いと考えており、我々からしますと多くの方が選ぶデザインはピンボケしているように感じます。1〜2割くらいの支持率が心地よいですし、賛否両論が出るというところも大切にしております。
実際に『水曜日のネコ』もお酒のメーカーなのに猫をキャラクターにしたビールを出して良いのかなど社内で議論があったくらいなのですが、それくらい議論があって良いと考えたおります。
キャラクターを擬人化して相棒のように感じていただきたいと思っております。このように徹底した差別化を大切にしております。
より近くの方を獲得し、ジワジワとファンを獲得していく
我々は中小企業で大きな母体を持っておりませんのでマス広告をするような体力はありません。売り場に並んだときにいかに目立たせるか、ターゲットとなる方に刺さるかが全てです。徹底的にターゲットを定め絞っていくことを重要視しております。
新規や認知を取っていくプロモーションについても同様です。『よなよなエール』を飲んだことがない方にプロモーションを強めたいのですが、距離とコストというものは比例すると感じております。それよりも近くにいるファンからのエンゲージメントを獲得し、その滲み出しで届けられない人に届けていく、ファンを味方にしていくことが重要です。
「カエル捕獲」プロモーションでSNSを盛り上げる
1つ特徴的なものをご紹介します。先ほどのカエルのイラストの『僕ビール君ビール』のプロモーション事例です。発売日当日に弊社のスタッフが都内のローソン様を巡回し製品を置いてくださっているか確認し、製品が売っていれば自分たちで購入し、その写真を自分たちのアカウントで投稿していきます。アップする際に「カエル捕獲」というメッセージで載せていきます。朝これを行なっていますと午後からはファンの方が一緒に遊び出してくれます。実際の投稿ですが、「新潟県上越市でカエル捕獲」と書いています。右の投稿では「行ったけど売り切れ。ローソン◯◯店」のようにファンの方が一緒に遊びながら買ってくれるようになり、捕獲したよという投稿をどんどんアップしてくれるようになりました。
夕方からは我々がオンライン放送を始めます。全国の日本地図を開き、タイムラインから流れるお客様の捕獲情報を見ながら、丸の花束を地図に付けていき満開にしながら、最後には乾杯をします(笑)。ほかの都道府県で捕獲情報がなければ、ほかのファンの方に呼びかけていただき捕獲するなど、丸一日掛けてファンとコミュニケーションを取りながらプロモーションしていきます。
ローソン様で年間を通して売れているビールというのはやはり大手様です。ですが、我々が『僕ビール君ビール』を販売した初週だけはどのビールメーカー様もを超えて1位になるほど売れているビールに変わっておりました。こういった実績を作りながらローソン様にも表彰いただいております。
ロイヤルティーによってファンイベントを3つに作り分ける
次に特徴的なのがファンイベントです。我々ファンイベントを10年くらいやっているのですがとても大切にしております。おいしさなどの製品の機能軸だけでは限界が出てきますので、こういったファンイベントを通しながらどういう風にこのビールを飲むと楽しいか、どういうシーンで飲んでほしいか、どういう思い出を持ち帰ってもらえるかという体験を増やしていくことを重要視しております。
いつも我々がファンイベントの際に気を付けていることが3点あります。お客様のロイヤルティーによってどのようなイベントに作り込むか分けるのですか、1つ目は学び、2つ目は交流、3つ目は共創です。この3点を必ずコンテンツを企画する際は必ず入れ込むようにしております。
人とのお付き合いと似ていると考えています。最初は知ってもらう、つまり学びです。我々の価値観を伝えていくことが大切です。それができると次に交流です。向き合う関係性になります。最後は共創です。結婚のように同じ方向を向いていく、そういう関係をブランドの中にも意識しています。
好きなことは何でも知りたくなると思います。そういう学びを大切し、好きな人同士がつながる交流は熱量がものすごくありますので意識しております。熱狂的になるお客様というのは、製品を安くお得に買いたいという気持ちはありません。自己実現に近く、会社の経営や成長を応援したいというお気持ちのため、そういった方とどのような共創ができるか、ということが大事です。
見学では製品への熱い思いを必ず伝える
具体的にご紹介していきますと、学びとして醸造所見学ツアーを行なっております。ワンシーズンで3000名くらいのお客様にお越しいただいております。どのようなスタッフがお話するのか明記したウェルカムボードから始まり、食べたり香ったりすることでビールの原材料を体感し、見学の場を特別用意はしていないため、スタッフが通常通り仕事をしている醸造所の仕事場を見ていただきます。さらに、バーカウンターに戻りますとテイスティングができます。ワインに近いのですが、クラフトビールにも飲む作法があります。どういう順番で、どういう食事と合わせるとおいしいか、ブランド、製品に込めた思いをセミナー形式でお伝えしております。だいたい1コマ100分くらいです。セミナーはら我々スタッフからのプレゼンテーションなのですが、学びを意識し、製品に対する思いを伝えることを大切にしております。
クイズでファン同士の距離を近づける宴イベント
次に交流です。都内に公式ビアレストランがありまして、宴という飲み会イベントを開催しております。月1回につきおよそ80名のお客様が参加していただいております。ここではファン同士のつながりを大事にしております。このイベントでは80名の方が全て埋まりますと全員が相席になります。皆様初めましてになります。そこでアイスブレイクとしまして5分程度のテーブル対抗クイズ合戦を行います。例えばビールの原材料であるモルト複数の品種をテーブルに置き、その中に1つだけ『よなよなエール』で使われているモルトがあるのでかじってみて当ててみてください、とお伝えします。打ち解けられるような接点の中に学びがあり、持ち帰ってもらえるようなコンテンツを用意しております。
アイスブレイクを数問実施しますと、すぐにテーブル同士で打ち解けてくださいまさので、フリータイムでも勝手に盛り上がっていきます。お客様同士仲良くなっていただくというのもありますし、お客様とスタッフ相互のコミュニケーションにもつながっております。
キャンプ場を貸し切り1000名のファンが参加する『よなよなエールの超宴』
この2〜3年はこのイベントの規模がどんどん大きくなっておりまして、お陰様でこのイベントから『よなよなエールの超宴』というイベントを開催しております。年1回北軽井沢のキャンプ場を貸し切り、1泊2日1000名のお客様とイベントを行なっております。やっているコミュニケーションは変わりません。交流と学びです。皆で乾杯して各々楽しんでいただき、音楽を聴きながらビールを飲んだり、離れの小屋ではセミナーをやったり、1名の優勝者を決める〇×クイズ大会を開催しています。最後は皆でキャンプファイヤーをして盛り上がる楽しい体験を作っています。
最近ではこの規模をもう少し大きくしており2年前はお台場で5000名近いイベントを行いました。行ったことはどのイベントも同じです。学び、交流、いかに引き合わせられるか、一体感を生み出せるかです。
「自分ごと」にさせる経営戦略イベント
最後に共創です。少人数の熱狂的なファンイベントを行なった際、3時間半のノンアルコールイベントを行いました。その目的は、熱狂的なファンの方によりヤッホーブルーイングのことを知っていただき、ヤッホーブルーイングと同じような目線に立って考えていただきたいという点からです。また、そういったお客様との対話を通して新しいサービス開発ができれば、そして結果的に『よなよなエール』を推奨してくださる。そういったことを目的としてイベントを行いました。
我々は目的を整理する際にとても悩んだのですが、熱狂的なお客様ですので宣伝してほしいと考えました。しかし、熱狂的なファンとはいえ、「宣伝してくださいね」と言っても簡単には宣伝してもらえません。甘いマーケティングではなく、宣伝したくなる気持ち作りはどういうものか考えました。それが「もっと自分ごとにしてほしい」ということです。
イベントでは、ニックネームで自己紹介をしていただき、その後ヤッホーブルーイングから経営戦略を赤裸々にお伝えします。普段なら絶対ファンの方に話すことはない中期計画をお伝えします。やりたい計画はたくさんありますが課題だらけです。その課題をクリアしていき中期のビジョンを達成するのが目的なのですが、ファンの方と一緒に解決策を見つけたいという目的があり、思い切って経営戦略を共有しています。
そうすることでファンの方々に自分なりの解決策や支援や拡散を考えていただき、それぞれ発表していただきます。今写真で表示しているファンの方はエンジニアの方なのですが、「アプリを作ろう」とアイデアを出してくださいました。クラフトビールは種類がたくさんあるため、自分が飲んだビールをコレクトしていくアプリです。そうするとビールに詳しくなり、収集したい気持ちが強まり、ビールを飲むのが楽しくなるアイデアをたくさん共有してくださるのです。
イベントの最後には、我々の名刺と同じフォーマットでファンの方の氏名を印字した認定証をプレゼントし、「スタッフのような存在ですので、明日から一緒にヤッホーブルーイングを盛り上げましょう!」とお伝えしています。この方達とは今クローズドでコミュニティを作り、どのようにクラフトビール市場を広げていくか極秘作戦を話し合っています。我々にとって相談相手のような存在です。
ファン自らが開催する「ファン宴」
このイベントの中ではファン宴というものが起こっています。ファン宴とは、ファンの方が幹事でファンを呼んで、『よなよなエール』の良さを伝えるイベントを開催することです。
ファンイベントに参加された方でイベントが好き、イベントを開催したいと言ってくださる方が多く、都内で開催すれば今度大阪でファン宴が開催されるような動きができています。
共創の中で大切にしていることは、我々のミッションにファンの方が共感していただき、その中でファンの方でできることを見つけたときに、ファンの方というのはものすごく熱狂し推奨してくださる、ということです。共創のイベントに参加した方は全員イベントをやりたいわけではありません。たまたまイベントをやりたい方がいたり、料理好きの方でクラフトビールに合うレシピを作りたい方がいたりと、我々のミッションとファンの方の得意分野を見つけるサービス開発まで行なっております。
年間1万人を動員するファンイベント
結果どんな定量効果を出しているかお話いたします。我々の業績の棒グラフをご覧ください。右側の網掛けがあるのですが、これは我々の年間イベント動員数です。我々10年前からイベントを行なっており、最初は30人ほどのイベントからスタートしました。直近では年間1万人ほど動員しており、ファンの方と直接お会いしている人数と業績との関係性を感じております。イベントをやる際、通販で購入されているファンの方に直接感想を聞くようにしています。
イベントのアンケートでは、イベントの満足度、ブランドロイヤルティーを伺うと必ず決めています。イベントの満足度ではイベントの満足度を7段階で聞いています。結果を見ながらPDCAを回しています。ロイヤルティーについては、イベントの満足度ではなく、そのときのブランドへの気持ちをヒアリングしています。聞いている項目は熱狂度、NPSの2つを必ず聞いています。熱狂度ではブランドのことをどれだけ好きかストレートに聞きます。NPSは、おすすめしたいかどうかです。これをいつもクロスで見るようにしています。右側がNPS、縦軸が熱狂度です。これを上中下の3段階にしクロスで見ます。
お客様の気持ちの構成比、分布を把握しコミュニケーション施策に活かす
我々は通販事業でサブスクリプションサービスを提供しておりまして、VIPのお客様にも定期的にアンケートをしております。お客様の気持ちの構成比、分布を見ながら、今お客様はうちのブランドに対してどんな気持ちでいるのかという傾向を知ることができます。表で言う右側、つまり『よなよなエール』がとても好きだし、おすすめしたいという気持ちになるのが一番の理想です。こういう気持ちになるにはどういうコミュニケーションを取ればよいのか深掘りをしています。
5000人規模の『よなよなエールの超宴』というイベントに参加したファンの方に年間購入金額を聞いているのですが、表の右上の方にいる方はものすごく飲んでくださっているのがわかります。特徴的なのは左上の方もたくさん飲んでくださっているということです。あまり推奨していないが、『よなよなエール』がすごく好きというお客様です。クラフトビールは嗜好品ですので、無理にすすめないけれども『よなよなエール』が好きだよ、という方です。表の右上の方と左上の方はタイプが異なるわけです。我々は右上の方だけでなく、左上の方も真ん中の方も大切にすることを心掛けています。NPSだけでは見えないブランドに対するラブ度を把握するようにしています。こういった部分を見ながら会社の中期計画、どのくらいの人に飲んでいただけたらよいか、ロイヤルティーの割合、コミュニケーション施策へ落とし込むようにしております。
知人・友人から誘われて参加する方は驚きの3割
ほかには、新しい友達を連れてくださるという点が挙げられます。5000人の『よなよなエールの 超宴』では認知度についてもアンケートを実施しています。表示しているグラフの中で青52%というのは、オウンドメディアを見てイベントを知ってくださった方の割合です。オウンドメディアまで見てくださっていますのでファンの方と言えます。友人・知人に連れて来られてという方が32%いますので、52%の方が32%の方を連れて来ていると考えられます。我々が開催しているイベントは約半数がファンの方で、残り半分弱が初めての方であると読みとくことで、イベント経験度、ブランドとの距離感を知ることができます。
こういったイベントを通してその他にどんなことを知れるかといいますと、カスタマージャーニーです。接点、沸点を聞くことが可能です。私はいつもお客様と話す際は知ったきっかけ、より好きになったきっかけを聞くようにしています。その理由から最近のお客様はタッチポイントがどこであるかを知ることで、会社の戦略に活かすことができています。
そのほかにもイベントを行う際、ボランティアとして駆けつけてくれ、運営するスタッフとしてファンの方が動いてくださいます。弊社社員だけですと140人程度しかいませんので、5000人規模のイベントを行う際声掛けしますと一気に集まってくださいます。
最近では日本航空様にお声掛けいただき、一緒にファンイベントを企画しています。日本航空様はデジタルマーケティングにものすごく力を入れている一方で、こういった直接的なイベントにも力を入れていきたい意向があり、一緒に企画を作らせていただいています。
まとめ
最後にまとめです。
経営戦略としまして他社が真似できないようなサービス、コミュニケーションを生み出し、差別化を大切にしています。また、カスタマージャーニーを作り、ファンになった理由を知ることを大切にしています。
製品開発ではターゲットを明確に絞ることを重要視し、製品が好きになるだけでなく企業への共感の2つの軸を上ってもらうようにすることが大事です。
そしてロイヤルティーに応じたブランドの体験を作り、リアルイベントで気持ちを高め、学び、交流、共創を感じられるコンテンツ作りに力を入れています。
我々にとってファンの方はお客様であると同時に同志のような関係です。困ったときに助けてくださるような関係で、スモールスタートから今に至っています。
マーケティングではスタッフの働きがいもを大切です。社員やボランティアで参加する方のやりがい、楽しみを抽出するよう日々努力しております。
本日のセミナーを聞いていただいた企業様もファンの方と楽しみながら、ともに市場を作っていけたらと思います。ご静聴ありがとうございました。