
「RTB Houseの最新トピックスから実例、ノウハウまで」
RTB House JAPAN株式会社
Sales Director
高橋 君成一
大学卒業後人材業界を経て2014年からCriteoに入社。さらにアプリ企業を経て2018年1月から現職。日本法人の立ち上げから1人目として参画して現在は18名の従業員まで成長。売り上げもAPAC(アジア太平洋地域)の70%を占めるまで成長。
RTB Houseの高橋と申します。私どもは2012年にポーランドで創業し、本格的に始動したのが2015年、日本法人オフィスが出来上がったのが2018年1月です。もうすぐ丸2年になります。
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「深層学習(ディープラーニング)」をコンセントとするRTB House
私どもはリターゲティングがビジネスの根幹であり、日本では約200のクライアント様(アカウント数)を持たせていただいております。一番のサービスコンセプトが「深層学習(ディープラーニング)」でして、こちらが他社との大きな違いです。ほかの企業様と、機能面やサービスの違いを感じていただき受け入れられておりますので、そのあたりもお話いたします。
DSPやリターゲティングなどで、エンジニアリングアルゴリズムが優れている話をよく耳にすると思います。私も2014年からアドテック業界にいる中で、よく言うアルゴリズムはブラックボックスとなり、あまり知られていないと感じています。私どもの一番の特徴であるエンジンについても、詳しくご説明したいと思う一方で、この部分をお客様にご説明しますと3人に1人が必ず眠くなります(笑)。本日は1/3の方が眠くならないようにお話いたします(笑)
各媒体のエンジンが行う、DSPやリターゲティングの5つのポイント
DSPやリターゲティングは主に5つのポイントで各媒体のエンジンが分析を行います。まず1つ目が、媒体タグが広告主様のサイトに貼られ、そのタグからユーザーの行動、購買情報などを取得します。2つ目は、その情報をもとに送信されるデータをエンジンに送り、お客様からいただいている商品データフィードと一致させ、その商品の価格や在庫数、一緒に買われてる商品などを分析します。3つ目は配信枠に対する入札(プライシング)、4つ目は配信クリエイティブ選定、5つ目はどの広告枠に配信をするのか、という大きく5つのポイントに分かれて広告配信は行われています。
我々はグローバルコンセプトとして、そのすべてにおいてディープラーニングを活用しています。この話をもとに、これまでのDSPと2010年以降に出てきたDSPと比較し、どういうことが起きていたのか、お話させていただきます。
“これまでのユーザー行動”と資料に書かせていただきましまが、市場にアプリが出るまでの時代を思い描いていただければと思います。画面の左側に黒い点がたくさん連なっています。x軸がユーザーの広告が配信されるデバイスへの接触時間です。y軸はそのユーザーの購買確率だと考えてイメージしてください。その黒いドットが各cookieユーザーごとのコンバージョン情報と思っていただくとわかるのですが、いわゆる広告配信に接触する時間が長ければ長いユーザーほどたくさん購入していたのが2010年以前、ということがわかります。
つまりコンバージョン情報がある中で、各広告配信事業者はこの黒いドットの中央値を取るというのが、分析のアルゴリズムが成功すると考えてください。このような青い点々の図が中央値を取ると考えております。
機械学習でいえば、2010年以前は、xの軸が高ければ高いほどy軸が高いという、y=axのような軸で分析を行っていました。
ロジスティック回帰分析で使われる手法とは
他社でいえば、こういう分析モデルの一部を代理店様にも公表しているケースが多いです。例えば、最後に見た商品をフィードで探しにいき、その商品が所属しているカテゴリーの中のベストオブビュー、ベストオブバイを広告に出すようなアルゴリズムがあるといわれています。同じように、買い付けのECPMにおいても予測されるCTR、CVRと掛け合わせたeCPMがわかり、実際にyahooに出る、Safariに出る、Googleに出た時にそのeCPMのアライアンスを出す、というような計算式が決められています。
とはいえ、ユーザー行動は多様化しており、左側にあるようにデバイスやテレビ配信、スマホ、アプリケーションが出たり、様々な広告が見られ、広告配信フォーマットもさまざまなものが出てきました。購入チャネルも多様化して、さまざまなところからユーザーは情報を取得し、購買に至っています。一方で右側に示しているように、広告に対しユーザーか霹靂が出てしまい、アドブロックツールがグローバルで進み、アメリカやヨーロッパでは多くのユーザーが広告をブロックし始めています。
2010年以降では、ユーザーが多彩な動きをしています。それを表したのが、こちらの表です。黒いドットと赤いドットがありますが、4、5年前からアトリビューションという話が出ていまして、ポストビュー、ポストクリック、ラストクリックなどさまざまな指標がありますので、ここではあえてポストクリックとラストクリックという2種類しか出していません。
良質なユーザーの動きを捉えると、S字曲線を描く
先ほどのページでお見せした1次関数のような手法でこの図を分析しますと、一直線で真ん中を捉えようとしますが赤い点数で囲ったユーザーは、この分析のモデルからは外れます。CPCを高くすればこのユーザーに届きます。しかし、例えば今設定しているCPC20円、25円ですと、この真ん中の点線に近いユーザーに届きやすい、という判断がされてしまいます。結果的に従来のエンジンだと効果が出ない、もしくはインプレッションを出してもコンバージョンされないと判断されたユーザーが一定数出てきてしまいます。
ただ、実はそのお客様にとって良質なユーザーだとすると、そのユーザーを捉える動きというのは、このようなS字曲線を描く、と考えております。単純に線形か非線形かという話をしているのですが、こういう非線形な表現ができるのが、今ようやく出始めたディープラーニングであり、いわゆるツリー分析やニューラルネットワーク分析と呼ばれる手法となります。
他社にはない、「ディープラーニング」を持つRTBだけの特徴2点
簡単にできるのでは、と皆様考えていらっしゃると思います。他社において、広告配信においてモデルチェンジできない理由は大きく2つあると思います。1つ目はマシーンラーニングにおいて多くのエンジニアを要します。他社であれば海外拠点に数千人のエンジニアを抱えているケースが多いため、
人をほとんど必要としないモデルに移行をすると、大幅な体制変更を余儀なくされます。ですが、弊社は代表たった1人でモジュールを発見、蓄積し、学習モデルもほとんど1人でつくりあげています。これは機械が独自で成長していくモデルのため、人件費が一切掛かりません。
また2つ目はタグやフィードを例としてお話しますと、タグが貼られて実際のcookieユーザーに対し、タグが発火され、配信先でインプレッションを出す0.00001秒の間に、冒頭で話した5つ以上の情報を通してリクエストを返すというのは、線形分析のように簡単な計算式でないとすぐ行うことはできませんでした。
媒体のタグが貼られているサイトに行くとよくわかるのですが、こういった媒体のタグ発火はとても早く、この膨大なリクエストを一瞬で返せる計算式がある、と思われます。
リクエストを早く返す、というビジネスモデルの特性から、なかなかディープラーニングに移行できない、つまり、「ディープラーニング技術×広告配信」が世界でも日本でも広まっていない理由だと思っております。
今のところ、どなたも寝ていませんので本日の目標は達成しています(笑)。
他社比較で判明した、インプレッション、eCPM、ROASの増加
この2年間、既存媒体で獲得できなかったユーザーがRTB houseでは獲得できるという話をよく聞きます。他社でリターゲティングできているユーザーがいれば、我々だけでリターゲティングできているユーザーもいます。2社で被っているユーザーもいます。しかし、エンジンのアルゴリズム設計が全く異なるため、他社が全くダメだと判断したユーザー、RTB Houseが効果が出ないと判断したユーザーを各々がサイトにもう1回返すことによって、そのユーザーが再度コンバージョンする可能性もありますし、その効果が出ないと判断し合ったそれぞれの媒体にも良い影響が与えられると私は考えております。
本日はあるお客様にご協力いただき、さまざまなデータを集めました。eCPMという話があるのですが、これがいわゆる媒体枠の買付単価だと思ってください。中央値が180〜200円と言われており、これを超えさらにCPCを上げるとeCPMも高くなります。この山が下がっていく理由は、どんなにインプレッションを出してもクリックしてもらえない、もしくはコンバージョンをしないからです。eCPMを高くすれば効果が上がるわけではありません。
お客様に私どもを導入してから、その会社のインプレッション、eCPM、ROASなどの項目をいただき、比較させていただきました。
先ほどのエンジニアのアルゴリズムが異なるという話がありましたので、私どもが4月から開始移行、既存媒体で実施していたときよりもインプレッションが増えている話が実際にこのグラフでわかると思います。eCPMは他社と比べると2〜3倍高く出ています。そのため購入確度が高いユーザーに対してかなり高いeCPMを出せていることがわかっています。
加えてコンバージョンの量とROASについてもお客様からデータをいただいたので、お見せいたします。インプレッションに比例してコンバージョンのボリュームも3〜4割弱くらい増えております。
最初は半信半疑で日本市場に来たのですが、来てみると他社と比較しても、ものすごくコンバージョンが出ますし、予算がそのままロケーションされるという話はほとんどなく、純増する場合や全く取れていなかったユーザーが取れている、という喜びの声もいただいております。リターゲティングは市場において終わってきているという話もありますが、私はまだまだいける、と思い始めております。
ラストクリック型の計測/コンバージョンごとの課金モデル
大きくまとめると、日本市場で私どもが挑戦できている理由が2つあります。
1つ目が、ラストクリック型の計測ができます。従来のDSPはだいたいポストクリック30日で管理画面請求、かつGA、Adobeのアナリティクスと乖離が激しいと聞いておりました。RBT Houseの場合、ラストクリックでも媒体評価ができ、管理画面でもその数値を見ることができます。それはラストクリックで何日間評価するか、時間軸まで媒体側で設定できるので、GAやAdobeと近い数値で管理画面を見ることができます。
もう1点、こちらも日本で好評いただいている点なのですが、従来のCPC課金のようなクリック×CPCという請求モデルもあります。一方で、お客様の目標KPIをいただき、それに伴ってコンバージョンごとにコストが発生する課金モデルもおつくりしており、日本では約7割がこのモデルでご提供しておりますこの課金モデルがお客様にとってリスクが少なく積極的に導入いただいております。
RTB Houseが提案する新規プロダクト
本日、新規プロダクトのことも話したくて参りました。クリエイティブと新規ユーザー向けの話をいたします。
クリエイティブですが、リターゲティングの広告は結構見飽きた感があると思います。左側に表示していますのは、『Social banner』と呼ばれるバナーで、文字通りその画像に対し「いいね」を押す、または興味がない、というボタンが押せるため、その情報をRTB Houseのエンジンに送ることで、付加情報を加えることができます。マウスオーバーしますとLikeが出てきまして、ボタンを押すと色が変わります。
また、右側のサーチアドと呼ばれるものは旅行会社様向けに提供していますが、アドの中でお客様に旅行の目的地や出発日、人数などの入力窓を用意し、実際にその検索結果ページに飛ばすことがアドの中で実現できます。これはグローバルで既に実施させており、既にテストしております。
クリエイティブの話でもう1つお伝えしたいのが、フルページレコメンデーションです。DSPやサードパーティだと段々ITPの影響でcookie情報が取れなくなってきますので、お客様に広告を出してから広告主サイトに行くまで、なるべくさまざまなユーザー情報をDSP自体が保有しようとしています。そのうちの1つがフルページレコメンデーションです。
広告をクリックしてお客様のサイトに行く前にもう1ページ、色んな商品を見せてあげる別のサイトを挟み、その中でより関心度の高い商品をクリックしてもらうようなプロダクトです。こういうクリエイティブを本社ではカスタマイズして、お客様のデザインに合わせて実装しております。
もう1点お伝えしたいのが、新規ユーザー向けのサービスとして、『Snippets』を提供しております。
今既にGoogleやyahooの新規向け広告があると思います。そういった広告は静止画が多いですが、配信先にRTB Houseのクリエイティブを追加し、配信するというモデルです。ポイントは、新規ユーザー向けのスタティッククリエイティブをダイナミックに使える点です。中央ヨーロッパや南米で非常に盛り上がっており、リターゲティングを使っていないブランド系のお客様にもたくさん使用いただいております。国内での実装はないため、年内の実装を目指しております。
始め方がとても簡単で、今使われている会社様にもよりますが、はやければ1週間程度で配信できます。
本日はご静聴いただき、ありがとうございました。