
リピート顧客を新規獲得しやすいWeb集客施策 〜なぜあのLPは定期加入率が高いのか?!〜
株式会社ペンシル
AP部 マネージャー
曽川 雅史
クラウドCRMベンダーにて法人営業でトップセールスを経験後、ウェブマーケティングを担当。ペンシルとの協業ビジネス立ち上げに奔走。その後2年の個人事業主期間を経て、2014年ペンシル入社。現在は通販・BtoBのクライアントへのアカウントを担当。結果の出るウェブサイトの法則を分かりやすく説明し、ウェブサイトの成長プランづくりを得意としている。
目次[非表示]
- 1.自己紹介
- 2.「インターネットの力で世界を革新する」という理念を持つ、ペンシル株式会社
- 3.顧客の売上を上げるための「成功シート」
- 4.独自のアクセス解析ツール、スマートチーター
- 5.王道パターンや定期加入率にこだわったLPのTipsをご紹介
- 6.誠実なクリエイティブ、コミュニケーションが重要視される時代に
- 7.定期購入を解約する3つの理由
- 8.クレームを防ぐためには、LPの“期待値調整”が重要
- 9.王道LPとミニサイト型LPのエンゲージメントLP
- 10.一定の数字が取れる王道LPパターンとは
- 11.情感やしずる感を強調するLPでカートイン率/コンバージョン率が急上昇
- 12.表記・表現変更で、定期購入率がUPした事例
- 13.コンバージョン率がUPした成功事例
- 14.まとめ
自己紹介
2004年頃からIT業界に入り、当時はシナジーマーケティングという会社で顧客管理システムの販売を行っておりました。その頃にペンシル社とセミナーを行う機会があり、そのご縁もあり2014年にペンシルに入社しました。基本的にはWEBでビジネスを行う企業様や通販の企業様が多く、お問い合わせがあった企業様との商談を担当しています。
「インターネットの力で世界を革新する」という理念を持つ、ペンシル株式会社
株式会社ペンシルはWEBコンサルティングの会社です。設立は1995年です。この年はYahoo!JAPANのサイトが立ち上がった1996年よりも前ですので、WEB専門の企業としては老舗企業になります。今期で26期目の会社です。本社は福岡で、東京にもオフィスがありますが、スタッフの9割が九州出身者で、地元九州に根差した会社です。WEBコンサルティング会社ですので社員の4割がコンサルタントです。
本日はTipsをお話しさせていただくのですが、会社の資産は人ですので、「インターネットの力で世界を革新する」という理念を持ち、これをもとに行動規範も作っています。当社のコンサルタントの特徴としては、諦めない、時代に流されない、見捨てない、裏切らない、というものがあります。河島英五さんの「時代遅れ」の歌詞のようなイメージです。またお取引先は、実は9割が東京の会社様です。長く付き合う大手お客様が多く、平均継続期間は5年ほどですが、例えば10年以上ご契約していただいている企業様もいらっしゃいます。このあたりは、我々がコンサルティング会社という性質上、売上、KPIを達成するチームとして入ってなんぼと思っております。会社案内の17ページ目以降が成功事例となっていますので、ぜひご覧ください。
顧客の売上を上げるための「成功シート」
こういう成功事例をつくるのが我々の考え方です。よくコンサルティングって何をするの?と聞かれるのですが、我々は売上を上げるために、(成功シートを指しながら)こういったプロセスに分解して、悪い点を改善していきます、とお伝えしております。もちろんすべてできる企業様はいないのですが、この成功シートのように、プロセスの途中で離脱してコンバージョンが減っていきます。離脱が起こるところを改善しましょう、とお伝えし、一緒に成果を出すべく尽力しています。
独自のアクセス解析ツール、スマートチーター
もう1つは、スマートチーターという独自のアクセス解析ツールを自前で開発しています。これを最初にリリースしたのは2006年ですが、まだGoogleアナリティクスが一般的にない時代です。アクセスログを集計する、というやり方をしているのですが、最近ITPではSafariやiOSですとCookieが取れない、という問題も出てきていますので、スマートチーターを使用しているとCookieベースで計測できないことが計測できるということで重宝されています。このように情報を蓄積するツールを開発することで、我々自身が情報のプラットフォームになり、ご契約しているお客様に還元、広告出稿などに役立てるような構造、基盤つくりを行っていきたいと考えております。
王道パターンや定期加入率にこだわったLPのTipsをご紹介
それでは、本日のアジェンダです。本日のセミナーは、新規獲得の型はある程度できたけれど、やり方を見直したい、定期加入率やリピート率に課題を感じている方、新しいアイデアを探している方に、お役に立てるのではないかと思っております。内容としましては、王道と呼ばれるLPの構成、定期加入率が高いLPの構成、最近はクライアント様からご相談されるLPのトレンド、とうものもご理解いただけると思います。デザインや構成を変えるというのはお金も時間も掛かりますので、できるトピックをお持ちしておりますので、ぜひ覚えていただければと思います。本日の範囲なのですが、基本的には「成功シート」でいいますと、プロモーション後のLPから購入完了までの話なのですが、本日はお時間が限られておりますのでLPに絞ってお話させていただきます。
誠実なクリエイティブ、コミュニケーションが重要視される時代に
ではなぜ、LPや新規の話をしようと思ったのかと申しますと、新規獲得は通販事業者様の永遠の課題です。本日のテーマであるリピート通販でお伝えしますと、タイムリーな話ですが、9月にとある会社様で「お試し価格」というのは景表法違反だと判決されました。ひと昔前は薬機法がらみで問題になることが多かったのですが、今は景表法でダメとされるケースも多いため、今回お役に立てるのではないかと思い、テーマにさせていただきました。昔は誇大広告に関する相談が非常に多くありました。元気になると書いているのに元気にならない、痩せると書かれているのに痩せない、などですね。衝動買いをさせるもので、よく読ませない間に買わせる、というLPが流行り、多く存在しました。
1~2年前から、消費者庁のサイトを見ると、定期購入関連のトラブルの相談が非常に多くなっています。お試しのつもりで購入したら定期購入だった、というような定期縛りですね。同じ業界の関係者として、私も心配しておりました。しかし、お試しと書く、定期縛りとなると、LTVや売上が見込めるのでやりがちです。ECで物を買うのが当たり前になってきたので、お客様が購入するにあたり不安になるサイトを避け、同じEC事業者にとっても、これから購入するであろうお客様を不安にさせないようにしなければなりませんので、今日のようなテーマを選ばせていただきました。CEM(カスタマー・エンゲージメント・マネージメント)と言いまして、最初の認知の段階から誠実なメッセージを伝えることで、誠実に見込み客に伝わるクリエイティブ、コミュニケーションづくりをもとに、LPづくりも変わってきております。
定期購入を解約する3つの理由
実際にLP(ランディングページ)をいくつかご紹介させていただきます。誇大広告ではないのですが、思っていたのと違うということで定期を解約されるお客様もいらっしゃると思います。では、どういう表現をすればよいのか、というお話をさせていただきます。
我々のクライアント様で集計したアンケートをもとに解析しますと、定期を解約する理由は3つに絞られます。1つ目は効果満足度です。効かない、ということもあれば、効きすぎるということもあります。ダイエットを例にあげると、痩せないから止めることもあれば、痩せてしまって必要なくなってしまうから止めるというケースもあります。2つ目は、余るというケースです。こちらは理由として1番多いもので、サプリメントなど飲み忘れて余ってしまうことが原因として挙げられます。3つ目は、経済的に継続するのが難しくなってしまった、ということが挙げられます。
クレームを防ぐためには、LPの“期待値調整”が重要
効果満足度については、期待値を高め過ぎるとクレームになりやすいため、どういう心理なのか我々の方で考えております。購入する前に過度な期待を持つ方は多くいらっしゃいます。これはLPなどの表現が原因となっており、誤解されるケースが多くなっています。こういった広告を見るお客様は困りごとがあり、大成功を求めています。きっと痩せるというLPを見て、絶対痩せる、手間なく痩せるという期待を持ってしまうのです。お客様の期待とLPの期待、両方の大成功を求めてしまう、というのが原因として挙げられます。実際飲んでみると痩せないこともでてきて、がっかりして解約し、あの商品最悪…と言われてしまうわけです。我々としては商品との出会い頭のときに期待値を調整すると長く続くのではないか、ということを考えております。そのためにどうするのかと申しますと、納得するために、短期的に痩せるだけでなく、飲み続けると健康的になる、とお伝えすれば良いわけです。
CRMのセミナーでよくお話させていただくのですが、サプリなどの製品をお守り化し、これがないと不安だ、という気持ちにさせる、ということをLPでも実施するようにしております。そのためのLPの構成が、通常のLP(1枚もので縦長、長くスクロールをするという構成)とは異なるものになっています。
王道LPとミニサイト型LPのエンゲージメントLP
顧客をとにかく増やす必要がある立ち上げ初期は王道型LPを出稿し、時間が経って定期加入率を高めたいというタイミングでミニサイト型LP(エンゲージメントLP)を作成する、という流れがおすすめです。エンゲージメントLPでは、ファーストビューから見たいコンテンツにすぐアクセスできるように、たとえばヘッダーに、コンテンツへのナビゲーションを設置します。(サイトを見せながら)こちらは某製薬会社様のLPですが、実際にミニサイト型LP(エンゲージメントLP)になっております。TOPページにカートインボタンがありません。これは、納得した方に購入してほしいため、あえてこのような構成になっております。広告のリンク先としても実際に使用されています。
なぜ、このような構成にしたのかと言いますと、当てずっぽうに行ったわけではなく、データ解析から出てきた仮説となっています。従来の王道LPはファーストビューがあり、問題提起があり、強み、成分、クロージングがある、というのが一般的なLPになっています。どこまでスクロールしたか?や、どの部分を注視したか?がわかる、弊社の解析ツールがありますので、そのツールの分析結果を見ていきます。真ん中の赤くポツポツしたのがヒートマップです。注目してほしいのが左側です。こちらはクリックしてどんどんそのページから離れていくと色が薄くなり、どれくらい見られているのがわかる仕組みになっています。ファーストビューがあり、最初のクロージングエリア、つまりCTAがあり、そこでおよそ40%が離脱している傾向になっています。他のLP、縦長のLPも同じような傾向になっています。残り50強~60%強の方は、ファーストビュー以外のコンテンツを見ていないというのがわかります。要は、ページを全部スクロールして見るユーザーは半分もいない、ということです。
もう1つ別の解析を我々のスマートチーターで行いました。縦長のLPのファーストビュー見て、他の部分も見て、またファーストビューに戻ったら閲覧1回としてカウントする特殊な解析で、ファーストビュー、クロージング、成分、クロージング、ベネフィット、クロージング、注文方法、商品紹介とブロックごとに分けて、青色になっているのが2回以上見られたブロックなのですが、どこが一番見られているのか解析を行いました。こういうのを見ると、だいたいがクロージングしか見られておらず、オファーやCTAしか見られていないことがわかります。強み、ベネフィット、よくある質問という箇所もあるのですが、あまり見られていません。商品のことをよくわからずに購入するケースが非常に多くなっています。これにより、多くが衝動買いであり、そのためクレームにつながるのでは、と考えました。企業側が伝えたいことしか伝わっていない、知りたいことを知られない状態ということはエンゲージメントの形成ができていないため、お試しを購入しても本契約にはならず、当然定期購入の早期解約にもつながりやすい状態を起こしています。
お客様が知りたいコンテンツにすぐ飛べるようにする、FAQをLP入れることは少ないのですが、ミニサイト型LP(エンゲージメントLP)に入れるなど、こういったものを入れたらよいのではないかと仮説を立てました。実際にサプリメントの会社様で行い、Yahoo!とGoogleのディスプレイで平均値を取った結果、良い結果を出すことができました。初回のLTVと引き上げ率については、コンテンツはすぐ見られる形式の方が、数字が上がっていることがわかりました。実際は1枚もののLPと比べるとコンバージョン率は若干下がります。そのため、獲得数が下がっている状態ですので、今は改善をするためお客様とPDCAを回し改善を図っております。そのため、このLPは定期率を上げるには非常に有効だと思うのですが、まだまだ立ち上げの段階で新規のお客様が欲しいという段階では、これよりも次に紹介する王道の型で新規客の数を増やす方が良いかと思います。
一定の数字が取れる王道LPパターンとは
では、王道LPとは何かと申しますと、だいたいこの構成にすれば一定の数字が取れますよ、という構成のことです。まずファーストビューで興味喚起をし、その下にお悩み共感を構築し、実行困難な解決策のページ、この商材を使った解決策、商材説明、その下にCTAが入り、成功事例、開発秘話、生産者のこだわり、CTAを挟み、定期メリット、またCTAというのが王道LPです。
それぞれポイントをお話しますと、まずファーストビューです。ここが一番大切だというのは皆様ご承知かと思いますが、サプリですと薬機法がありますが、同じ商品でも色々な切り口でLTVが上がったということもあります。さまざまな言葉でユーザーインサイトを捉えていく必要があります。次に、興味付けと相手に自分ごとにさせることです。原因追及を深掘りしていくことになります。その次に実行困難な解決策です。この商品使ってよ、ですと今の問題に対して簡単に解決するのはこの商品ですよ、という流れを作っていきます。ベネフィットを意識とありますが、このベネフィットは質問を何回か重ね、その後に出していくことが大切になります。最後のCTA、お客様の声、誕生秘話などは信頼をつくるコンテンツになります。一番強いのが、第三者からのコメント、受賞歴などがあれば、より信頼感をアップさせることができます。最後が定期購入の訴求です。これはあった方がコンバージョン率が上がる、というデータが出ておりますので、事例を含めてお伝えしたいと思います。
情感やしずる感を強調するLPでカートイン率/コンバージョン率が急上昇
上記が王道LPなのですが、こういったLPを使用しているお客様からデザインを綺麗にしてほしい、というリクエストがありました。情感型LPというものでして、こちらもご紹介させていただきます。情感とは何?ということですが、心に沸き起こる感情のことを指します。見た目やデザインが綺麗なLPのことですね。こちらの事例をいくつかご紹介いたします。健康食品を扱っている、ザ・通販の会社です。仮にA社様と呼びます。以前は左側のようなLPだったのですが、写真を撮影し直し、デザイン、余白を上手に使い、作り直しました。これはLPではなく本サイトの方ですが、情感型に変えていきました。情感、しずる感を出すようにサイト構築をしたのですが、特定の商品ではカートイン率が114%アップしたり、他商品と比べコンバージョン率がNo.1になったり、また別の商品ではスマホのブランドページですがコンバージョン率が120%アップしたりしております。特にこの場合ですとPCとスマホでは、スマホの方が効果が高くなる結果となりました。
こちらもA社様の2商品の事例です。ビフォー、アフターを載せておりますが、しずる感、情感の出る写真に変えたところ、左の商材ではコンバージョンの改善率が6倍に、右の商品でも144%も改善することに成功しました。こちらの数字ですが、サイト全体を変え、スマートフォンのUIを変えたところ、購買率が1.2倍に改善された、という事例になります。担当の型が女性でいらっしゃり、自分たちが購入したくなるサイトにしたいというご意見もあり、このような数字を出すことができました。我々も見た目を変えることでまだまだ数字は変えられるんだ、ということを改めて実感することができました。
次にB社様の事例です。一番有名な商品ですが、王道型のLPから情感を訴える綺麗なLPに変えたところ、リスティングやDSPからのコンバージョン率が上がり、最初から定期を選ぶ率が増加しております。ベーシックな商材でも情感型LPの効果が出やすいことがわかっています。こちらの商品については1部、見たい商品にすぐ飛べるアンカーリンクというような仕掛けも入れております。お客様にブランド、製品がいいな、と思わせる、そういう商品をすぐに見られるようにすると定期購入者が増えることがわかっておりますので、より効果的に使っていただけると思います。
次は、異なる切り口の発見のお話です。こちらもB社様なのですが、コラーゲンが入っている製品なのでご本人が多く購入しているのかと思われがちですが、代理購入者といいまして、配偶者の方などが買うケースが4割もあります。実際に代理購入の方へ、というページがあり、通常のLPに加え、代理購入者向けのページをつくることを行いました。代理購入はサプリ、20代向けのニキビ、コンプレックス系の製品ですと親御さんなど、見ている人以外が購入する可能性があるのであれば、そういったページをつくることでコンバージョン率も上がりますので、ぜひ作ってみるとよいでしょう。
表記・表現変更で、定期購入率がUPした事例
この後はティップスとして、すぐに実践できるお話をさせていただきます。マイクロコピーABスプリットテストによる改善と書かれておりますが、これはC社様の化粧品のLPです。定期の表現を2か月から60日に変えただけです。実はスプリットテストを行ったところ60日の表現の方が、コンバージョンが高いことがわかりました。これだけで大きなことをせず勝ちパターンがわかりますので、便利に使っていただけると思います。
C社様のサプリメントです。体温める効果があるのですが、左のクリエイティブですと定期のメリットが伝わりにくいことから、CTAの部分で定期のメリットを書き加えました。「定期の3大特典」をわかりやすく明記しただけで定期購入率が改善した事例がありますので、ぜひ取り入れてみてください。
先程のB社様のコラーゲン商材でも、定期購入をすると…と明記することでお得訴求することで引き上げ率と定期率が改善しています。言える特典があると思いますので、わかりやすく出していくとよいと思います。
記事LPは広告に近いページですけれども、広告運用としてさまざまな提案をさせていただくのですが、とにかく色々な切り口を書くことが大切です。数が回せるパートナー様にお願をするとよいと思います。豆乳でヨーグルトをつくる商材の事例ですが、うちのスタッフが実際に使っていろんな製品を作って見た風のYouTubeがあるのですが、売り上げが爆上がりした事例となっています。とにかくさまざまなものを作ることが大切ですね。
コンバージョン率がUPした成功事例
C社様の記事LPの事例ですが、これも数打った施策です。昔は使ってみてこうでした、というLPでしたが、親孝行風、調査レポート風の切り口の方が、コンバージョン率が良くなった、という事例があります。とにかく数を打つことが良いものに繋がっている、ということを表す事例となっています。
最後に先程のB社様も取り入れている事例です。LPから離脱する方は、半数、下手すると60~70%と多くなっています。そういうときにオファーを見せて引き留めるツールが非常に大切です。だいたい平均のコンバージョン率で、バナーをクリックした率が高いとだいたい購入していきますので、こういったツールを使うのも手だと思います。
まとめ
まとめになりますが、ポイントは新規の獲得プランを考え続けられるか、そういったことを提案してくれるパートナー様と組めるか、ということになりますので、施策、CVRの改善、チームづくり、などお気軽にご相談いただけたら幸いでございます。