
「ずっと安心」越境配送コンシェルジュで中国越境販売をサポート
船井総研ロジ株式会社
新関 崇浩
大手フォワーダー企業を経て船井総研ロジへ入社。入社時から物流業務受託支援(輸送モードの切替・共同配送網構築・オペレーション業務運営管理)を行うとともに間接材の共同購買を行い、ワンストップのロジスティクスサービスの提供を行う。物流企業の物流機能強化・改善を行う。
現在、年々伸びている国内外EC市場に対応すべく物流インフラの整備、海外パートナー企業の開拓を精力的に進めている。
越境ECを考えた際に、多くの方を悩ますのが「物流」です。そこで船井総研ロジの新関が越境EC配送の基本パターンと理想的な配送モデル、個人輸入規制、通関対策と落とし穴を詳しくご紹介いたします。
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自己紹介
私は船井総研ロジにて荷主企業様向けの実務面のご支援を中心的に行っております。具体的には、物流コストの改善、輸送品質の向上、輸送の効率化を荷主企業とともに全体の最適化を目指しております。コンサルタントとして荷主企業様の提言で終わるのではなく、実行することをソリューションコンサルティング部の目標として掲げております。
越境EC配送の基本パターンと理想的な配送モデル
大きくパターンが3つございます。
まずは、越境ECでよく使われる大手プラットフォームが推薦する「保税区モデル」です。これは、保税地区に荷物を在庫として持っておくことを指し、中国の消費者が購入したら保税倉庫にある荷物から商品を出してお届けします。この保税区モデルにかかる日数はおよそ5日間です。
2つ目は「直送モデル」です。保税区モデルと大きく異なるのは、あらかじめ中国に荷物を預けない点です。注文をいただいたら日本にある商品から出荷をするパターンで、このモデルにかかる日数はおよそ7日間です。
3つ目は、「個人代理購入モデル」です。直送モデルに近いのですが、異なる点は中国の購入者が日本にいる出品者と直接やり取りをし、商品の売買を行う点です。出品者が個人ということもあり、いつ出荷されるのかは不明確のため日数は10日以上かかると考えられます。
画像右側の表をご覧ください。「購入者側からみた商品不安」とは、購入した商品自体が偽物ではないかという不安を指しています。「個人代理購入モデル」の場合、このリスクは高くなると考えられます。
次に「企業側のリスク」とは、在庫リスクです。「保税区モデル」の場合、売れるかわからない商品を中国の倉庫に入れておかなければなりませんので、非常に在庫リスクが高まります。
最後に「購入者側のリスク」ですが、先ほどの商品不安と似ており、偽物だけでなく買っても商品が届かないなどのリスクがあります。
我々が特におすすめしたいのは、「直送モデル」です。越境ECのスタート段階では在庫リスクを抱えない方が良いですので、直送モデルが最適だと考えております。
上記画像は、企業の成長段階に適したモデルを示しています。先程のスタートアップ時は直送モデルが良いでしょう。まずはトライアルを実施し少しずつブランド力を上げていただきます。成長段階では「保税区モデル」がおすすめです。ブランド知名度が上がっていますので、顧客へのリードタイムの短縮、配送コストも抑えられます。
最後の完成段階までいきましたら、現地に国内ECを持つ、もしくは現地法人を立ち上げ、ブランド認知を上げていくと良いでしょう。ソーシャルバイヤーを起用した販促は加速し大量に売れることもあります。そうなりましと爆売り達成が見込めるのではと思います。
我々の実績から申し上げると、直送モデル発送と保全型モデル発送の切り替えタイミングは月間2000個です。保税区モデルから完成段階までの目安は、月間6000個です。ここまでの個数を発送しているようでしたら、国内EC、現地法人がおすすめです。
我々はどこの段階においても綱ぎ目なくご支援が可能ですので、お気軽にご相談いただければと思います。
新税制施行後の中国政府の個人輸入規制【2020年10月最新情報】
続いて、新税制施行後の中国政府の個人輸入規制です。2020年においては特に大きな改正はありませんでしたので、2019年の改正から大きく5項目をご紹介いたします。
特にピックアップしたい点が2点ございます。
1つ目が、「個人取引限度額拡大」です。以前は2,000元だったのが5,000元、年間でも2万元が2万6,000元に拡大しております。
2つ目は、EC製品の転売です。こちらは逆に規制面となりますが、今までグレーゾーンでしたが明確に禁止と規制がされております。
このレポートを見る限り、中国政府としては越境ECの仕組みの基盤整備に取り組み、さまざまな促進政策を取っていることが見て取れます。
直送モデルの税率
続いて「直送モデル」の税率について触れていきます。直送モデルには大きく「EC通関」と「行郵通関」の2つのパターンがあります。コストを見るとEC通関の方が安いのですが、中国税関のプラットフォームとの連携が事前に必要となります。オーダー情報、商品情報、物流情報を事前に連携してからでないと、このECの税率は適用されなくなります。
すぐに越境ECを始めたいスタートアップの企業様には、「行郵通関」をおすすめしています。書いていただく書類がいくつかございますが、最短で4~5日で行郵通関発送ができます。行郵通関を使うメリットはすぐに使えるだけでなく、増値税などを払う必要はありません。物量が増えるまでは最適だと考えております。
保税区モデルの税率
2019年4月前後で増値税が変わっています。以前より3%下がっていることもあり、中国政府として減税施策を徹底していますので、国として越境ECを推奨しているのがわかるかと思います。
越境EC配送の通関対策と落とし穴
上記が画像のように、売上を上げることが最優先ではあるのですが、物流・通関で落とし穴になるケースが非常に多いです。
物流面で一番悩みやすいのが輸送コストです。商品売価より輸送コストがかかるケースもあり、国際発送のため破損が起きやすくなります。梱包の知見がないばかりに、せっかく売れたのに破損対応で余計なコストが発生してしまった、ということにもなりかねません。
通関については、輸入禁制品がありますので事前に確認をしておきましょう。スタートアップ企業様ですと確認漏れが起きやすいため、把握が必須です。
越境EC配送のコストとリードタイムのベストバランス
日本から中国に90cmで3kgの物を輸送した場合、配送コスト、リードタイムの比較は上記画像のようになります。コストはやはりEMS様が優位ですが、リードタイムを重視される場合はFedEx(フェデックス)、DHL(ディーエイチエル)、UPS(ユーピーエス)など有名なクーリエ業者を選ぶと良いでしょう。
船井総研ロジ「越境配送コンシェルジュ」のご紹介
先程ご紹介した配送サービスだけでなく、「越境配送コンシェルジュ」というサービスも展開しております。
メリット1 即時コストダウン
EMS様を使用されている企業様でもコストダウンができた実績がございます。
メリット2 荷物お預かり
配送だけでなく在庫保管を行っております。
メリット3 担当コンシェルジュ制
1顧客に対し1担当をつけますので、さまざまなご相談が可能です。
メリット4 ID情報の取得
中国への輸出にはID提供が求められるのですが、我々が荷主様に代わって行うことで、工数負担の軽減ができます。
「越境配送コンシェルジュ」の特徴
上記の画像が情報と貨物の流れを記載したものです。発送情報をいただければ、我々の方で運送状ラベルを発行しますので、お荷物に貼っていただき、集積しているフルフィルメントセンターに荷物を送っていただければ完了です。その後は、我々が海外発送、エンドユーザー様へのお届けをすべて行います。たった2ステップだけでエンドユーザー様に送ることが可能です。
まとめ
企業様がどの段階にいるのかで物流の在り方が変わってきます。安さだけを取るとスピードが遅くなってしまうため、バランスを追及しながら越境ECの売上を構築していくお手伝いを我々でもさせていただければと思います。
ご清聴ありがとうございました。