VOC【お客様の声】とリスク管理で顧客分析!


苦情・クレームの対応が明確にわかり、社員の顧客対応時間が減り、更に、顧客満足度が上がって「生涯リピーター」を大幅に増やすことが出来るようになる研修。売上向上や収益率アップに向けての研修。

HAZS株式会社

代表取締役 東 弘樹

1990年、大手クレジット会社に入社、16年債権管理業務、決済関連業務などに携わる。2006年、通信販売企業向けソフトウェア開発・販売会社を経て、2007年にHAZS株式会社を設立。2014年には筑波大学大学院にて「通販の債権管理」を研究テーマに、2017年博士を授与。独自に確立した「ネオリスクマネジメント」にて、成長する通信販売事業様やネットショップ運営者様をサポートしている。主に債権管理・決済管理・苦情クレーム・情報セキュリティなどに精通している。日本ダイレクトマーケティング学会、日本生産管理学会 正会員。数々のメディアにて連載、コラムを提供。



|自己紹介

今日は1時間ほど、VOC、お客さまの声のお話と、もし時間があればワークを入れていきたいと思っています。よろしくお願いします。

 まず、自己紹介をさせていただきます。私は関西出身で、大阪経済大学を1987年に卒業しました。1990年より大手クレジット会社にて約17年勤務し、債権管理や決済システム、商品開発や事務統括等をさせていただきました。現在コンサルティングをさせていただいている多くのノウハウはこの辺りから生まれたものです。2006年、早期退職をしました。その後、約1年、システム会社に勤務し、2007年に独立しました。世の中がリーマンショックにあることを知らずに独立したので、かなり苦労しました。そこから現在12期目を迎えました。

 筑波大学の先生と仕事をした関係で、自然言語処理を使い後払い決済の与信システムを開発するために研究をしました。有名な自然言語処理の権威のある先生です。この時に学んだ自然言語処理のノウハウと、私が金融時代につらい思いをした苦情・クレーム処理を合わせ、2014年から、顧客対応に関するセミナーや研修に活用させていただいています。


|お客様の声の重要性

 本日の内容は決済ではなく言葉についてです。「社長へ直接お届けするお客さまの声の重要性」です。多くの企業が『お客さまの声』を集めていると聞きます。以前、某大手通販会社の社長から、「テキストマイニングでは何も問題解決しない」といったご意見を直接お聞きしたことがありました。テキストマイニングで問題・課題を発見し解決するためには、目的を明確にした上で、お客さまの声の収集する必要があります。そして、その集計方法、解析、分析が間違っていれば、なんら答えが出てこないということが分かってきました。

   



|事例紹介(マクドナルド・大塚家具)

 事例をいくつかご紹介します。こちらは『産経新聞』の記事です。マクドナルドのサラ・カサノバ社長と大塚家具の大塚久美子社長は、3年前たまたま同時期に社長に就任しました。大塚久美子氏は、当時お父さまから会社を譲り受けたところで、会社にかなりの勢いがありました。逆にマクドナルドは低迷時期にあり、サラ・カサノバ氏は物議をかもしつつ就任されたようです。しかし、現在は真逆の状況にあります。マクドナルドはV字回復をし、今や成長企業です。ところが、大塚家具は低迷してしまっています。

 この違いについて、産経新聞の記事によると、サラ・カサノバ氏はマクドナルドが低迷していた時期に、対象となる層が子どもを持つ母親であるとし、積極的にその声を聞いていったそうです。また、現場の社員、つまり末端の社員の声を聞き、現場の改善を図ったそうです。これらがV字回復のきっかけとなりました。逆に、大塚久美子氏は、見てお分かりのとおり、おそらく顧客を見ているとは思えません。自分の意見や考え方を押し通したが故に、今や社長を退任させられるのではないかというところまで来てしまっているとのことです


|事例紹介(はとバス)

 こちらは、2018年8月ごろにテレビで放映されたものですが、はとバスがV字回復をした事例です。「はとバスをV字回復させた社長の習慣」という本にもなっています。はとバスのV字回復には8つほど挙げられるそうですが、その中で大きく2つに大変感銘を受けました。1つは、はとバスが低迷していた時期、都営地下鉄で実績を積んだ方が社長に就任しました。就任時、社長は奥さまと2人で身分を隠し、自腹でツアーに参加し、お客さまの意見を聞いて回ったそうです。例えば「立ち寄った食堂のエビフライが冷めていた。おいしくない」といった意見を聞くと、社に戻り、「お客さんが到着するころに、あたたかいエビフライを提供しなさい」と指示したそうです。

もう1つが今日の本題です。はとバスで使用するアンケート用紙に工夫をされたそうです。フリーテキストでいろいろと記入できるようにしてありますが、その一番下に「社長がきちんと見ます」と、お客さまの声は社長にしっかりと届くことを明記されたと書かれています。年間およそ6000通のアンケートが集まったそうです。2008年6月期は、8476件のお褒めと、3508件の苦情の声が集まったそうです。テキストマイニングの言葉で「ネガポジ」といいますが、ネガティブなワードとポジティブなワードで仕分けをします。これを上手に活用することで、はとバスを改善していったそうです。

 顧客は社長がアンケートをしっかりと見ることが分かると、きちんと記入をするようです。これらを元に、ポジティブな方は社員の表彰等にも利用し、ネガティブな方は「ハガキ会議」というものを行い、何を改善すべきかといった話し合いをされているそうです。

 

|事例紹介(GAIA NP)

最後に、少しネガティブな話になりますが、こちらは去年の帝国データの記事です。GAIA NPというシャンプー等を一貫した生産体制で順調に成長していた企業の話です。シャンプーの中に澱が出てしまい、不良在庫が倉庫に眠っていたことが社長に報告されないまま、放置されていたそうです。発覚時に約4,500万円分を一括で焼却処理し、それが元で資金繰りがうまくいかなくなった結果、倒産してしまったという内容です。

 このように昨年だけでもいくつかの事例があるとおり、会社の代表である社長に、末端の言葉を届けるということは、とても重要なことであることが分かります。


日本能率協会総合研究所によると、アンケートハガキ等でお客さまの声を取られている会社は、現在かなり多くなっているそうです。ただし、活用できている会社は、約3割にとどまっているという内容でした。私は主に通信販売会社のコンサルをしていますが、通信販売会社にもいろいろとハガキが来ます。一般的には、それを社員間で読み合わせを行っているのが現状です。そこから分析し、何かに活用しようとなると、その手法が一般的には知られていないです。

 

|モンスター・クレーマーについて

最近のお客さまの言葉をさっと挙げてみますと、「とてもよい」「音がうるさい」「かたい」「遅い」「汚い」「うるさい」「価格を下げてください」等たくさんあります。中にはとてもネガティブなものものあります。私は、金融業界時代に電話などで、汚い言葉を使われ交渉された経験があります。そういった汚い言葉を発する人は実はたくさん存在します。ただ、汚い言葉を使う方でも、状況や内容において分類できます。

 もう1つの観点で認識しておくことは、苦情・クレームを言ってくる人はすべて「クレーマーだ」といった誤った認識を持たれることがあることです。多くの優良な顧客は無口で、何も語らずに商品を購入しています。そのため、苦情・クレームを言ってくるお客さまを誤解しがちなのです。そうは言っても、実際に悪質なクレーマーも存在します。以前は「モンスター・クレーマー」などと呼んでいましたが、昨年あたりから「悪質クレーム」・「カスハラ(カスタマーハラスメント)」と言う呼び方に変わってきました。

 一方で、「サイレント・クレーマー」という言葉もあります。要は不満があるのに、何もいわずに購入をやめてしまう人たちです。アンケート等でお客さまの声を取るのはいいのですが、実には声を出さずに出て行く人も、たくさん居ることを認識することも、とても重要なことだと思います。

 

|ネガティブな声とポジティブな声の伝わり方

売り上げ向上へのキーポイントは、お客さまの真心の声を取り、それを理解し、そして会社の商品やサービスに、反映していくことです。お客さまの声とは、苦情・クレーム等のネガティブな声や感謝や応援などのポジティブな声などです。グッドマンの法則に見る、苦情をCSに変える「戦略的カスタマーサービス」に、苦情・クレームの声と、感謝の声の伝わり方は違うということがでていました。ネガティブな声の場合、1人が16人に伝え、逆にポジティブな声は1人が8人にしか伝えないとのことです。ネガティブな声は、ポジティブな言葉より伝わりやすいということでした。また、声を出さないお客さまより、声を出すお客さまの方が購買率が30%高いとも書かれていました。要は、声を出すことによって不満が解消されたお客さまには、購買率や継続率が非常に高くなるということになります。


|テキストマイニングの基本について

テキストマイニングの基本は、分類する、カテゴリー分けをすることです。集めた声が、どういう声なのかということをきちんと認識していくことが必要です。「音がうるさい」「かたい」「あったかい」「やばい」「ありがとう」「遅い」「汚い」「うるさい」等の言葉です。ただし、「価格を下げて」というのは少しだけ異なります。後ほどお話をします。もう一点、「悪質クレーム」の言葉については、データ分析する上では、気にしないことが重要ではないかと思っています。


 「感謝・応援」は社員のモチベーションを上げたり、新規顧客へアピールしたりするのに活用できます。「当社はこんなに喜ばれています」といった本当のお客さまの声を出すことが効果的です。「質問・要望」は商品開発やサービス向上に活用します。「苦情・クレーム」は顧客対応の向上に活用します。これらお客さまの声は、いろいろと見方がありますので、カテゴリーに分けることによって、それぞれの使い方が出てくるのです。あとは、言葉の本質を見抜くことが必要です。また、最近「気持ち言葉」というものが流行っているようです。世の中のトレンドのキーワードもありますので、こういうものを知っておくことも必要だと思います。

 

|苦情・クレームについて

例えば「苦情・クレーム」ですが、私の方では研修というかたちでご提供させていただいています。大体皆さん「嫌だ、嫌い」と言うのに賛同されます。実は、苦情・クレームをまったく発生させない唯一があります。それは商売をやめることです。逆に言えば、商売をしている限り、絶対に苦情・クレームはあります。苦情・クレームを排除し、0にすることを目標に掲げられる方が居られますが、私は排除ではなく活用するものだと思います。強いて言えば、会社を磨くための研磨剤だと思っています。

 苦情・クレームの本質を考えると、先ほど皆さまが挙手していただいた「嫌い」という言葉は、おそらく出ないだろうと思います。例えば、苦情とは「不公平や不満を是正してほしい」という行為であり、クレームは「被害や損失が発生したことに対し、補償をしてほしい」という行為です。苦情もクレームも、自社に非があって発生したものであれば、おそらく嫌いという感情を言っている暇はないはずです。苦情・クレームは、実は優良顧客から発せられる言葉ではないかと思っています。内容をヒアリングし、しかるべき対応をするのは当然の行為になります。

 「苦情・クレームは好きですか」と聞いたとき、ほとんどの人は「嫌いだ」と答えますが、実は「嫌い」だと感じるのは不当な要求、つまり謝っても許してもらえない「悪質クレーム」や、優良顧客から出る怒りの感情などです。悪質クレームは「不当に要求を行う行為」や「自分の価値観を強要する行為」であり、いくら謝罪をしても許してくれない、最終的には「土下座をしろ」と始めたり、もしくは「サンプルをよこせ」といった金品の要求もあったりします。たとえサンプルであっても不当な要求であれば、本来は断るべき話です。皆さんが「嫌だ、クレーム対応がよく分からない」というのは、ここの線引きがきちんとできていない場合であって、心の中におかしな感情がわいてくるのです。

 私の経験によるもので、きちんとした割合が出ているものではありませんが、悪質クレームの割合はほとんどないのではと思っています。ほとんどの場合、悪質なクレームになっていくのは、企業側が対応を間違えているときです。本来、不当な要求をする人には、毅然とした態度でお断りをしないといけません。逆に、苦情・クレームを言うのは、優良顧客といいましたが、この人たちに対して毅然とした態度でお断りをしたり、逆に不当な要求をしている人たちにしかるべき対応を行ったりすることで、どんどん深みにはまっていきます。大抵、逆のパターンを行ってしまうケースが多いのだと思います。つまり、悪質顧客と優良顧客の違いを明確になっていないのです。

 

|見極め・リスク管理・事故対応のノウハウ提供

グッドマンの法則に見る苦情をCSに変える「戦略的カスタマーサービス」に記載されていた数字で『4対96』というのがありました。苦情・クレームを言ってくるお客さまが4とすれば、サイレント・クレーマーは96といわれています。価格帯によって異なるようです。実は高額商品は何かあった場合に苦情・クレームを言ってくる割合は約半分だといわれています。自動車等でおかしな点があれば100%言ってくると思います。ところが、少額商品は約4%で、残りの96%は黙って居なくなるというのが一般的な数字です。

 仮に、売り上げに対し、1%の苦情・クレームが発生したらどうなるでしょうか。1,000人のうち1%が言ってきた場合、10人が苦情・クレームを言うことになります。その10人のうちの1人がおかしなクレームをしてくると仮定します。残りの9人は、明確な理由をもって苦情・クレームを言ってきます。それが本当に、1%だった場合、4:96の法則を使うと、約25%の人が離脱する計算になります。250人が離脱する計算になります。このおかしなクレームの1人が居るために、苦情・クレーム自体が「嫌だ」という感情を持つことになり、10人に対して失礼な対応をすることになりかねません。9人の声は、実はとても貴重な声になるので、しっかり対応することが必要です。お客さまの声をきちんと収集すれば、実は「感謝の声」も非常に多く見受けられます。

顧客を選別し、悪質なクレームと、苦情・クレームを言ってくる人をきちんと選別するには別の意味もあります。1つは炎上しないためです。苦情・クレームが悪化して行くと、先ほどありましたように、1人が16人に対し広めていきますから、大変な早さで広まっていきます。もう1つは、従業員を守るためだと思っています。今日は、コールセンターのコンサルを行われている方も居られますが、現場の従業員(オペレーター)は、悪質なクレームを数多く抱え込んでしまうと、疲弊し、離職してしまう経験を持っていると思います。従業員を守るためにも、しっかりと対応することが大切です。このことは、最終的に優良顧客に対し、最善のサービスを提供することにつながっていきます。

 このため、苦情・クレーム、悪質クレームについて、当社では「見極める」ということを実践しています。「見極める」「リスク管理をする」「事故対応をどうするか」といったことを、ノウハウとして提供させていただいています。

 

|顧客満足度

「感謝・応援の声」ですが、これらは顧客満足の現れです。顧客満足が上がる瞬間があります。自分が思っている企業のイメージや予想していたサービスより、少しでもよく、「ああ、こういう会社だったのか」「こんなにいいことがあるのだな」など感動したときに、満足度があがります。例えば関西に行くと、見た目はいまいちでも長く続く、おいしいお店が数多くあります。見た目はこんな感じなのに、こんなにおいしいのかという感動があれば、満足度はどんどん上がり、流行るのです。

 逆に、綺麗な店構えでも愛想のない店員に対応されると、「なんだこれ」という気持ちになります。よくECを実践されている方にお話しするのですが、ホームページをとても立派に素晴らしいものを作った場合、顧客対応が悪かったり、商品やサービスが悪かったりしたら、逆のイメージを持ち、逆効果になるリスクがあります。そうなると、「ここはこんなに良さそうなのに、なんだか嫌だな」といった感情を持たれてしまいます。

 

|従業員満足

『戦略思考トレーニング』という書籍に掲載されていた事例をご紹介します。アメリカのカジノでは不正防止のために監視カメラを数多く設置しているようです。ハラーズというカジノの運営会社は、この監視カメラに映っているデータを分析・解析し、顧客満足度を比べていくと、その個数が多いと顧客満足度が高いというものを見つけたそうです。

カジノの売り上げは、滞在時間かける掛け金です。どうすればいいでしょうか。


それは、従業員の笑顔の数を数えていたそうです。


従業員が笑顔で接しているほど、カジノでは顧客の満足度は高いと言います。本来、負ければ腹が立つと思いますよね。カジノは遊ぶところなので、従業員の笑顔が多いほど、顧客は満足することになります。

 しかし、よくCS等で「笑顔の練習をしましょう」と言って、作った笑顔を提供されるのは嫌なものです。やはり自然な笑顔を出す必要があります。そのためにはどうしたらよいでしょうか。従業員に笑顔が多ければ顧客への愛情を出せます。顧客に対し、もっと関心を持ち、行動を伴った接客をすることがわれわれのいう顧客への愛情、顧客愛です。要は、顧客への関心を高めましょう。もっと自然な笑顔でお客さまと接することだと思います。

 電話もそうですが、表情は見えなくても、感情は相手に伝染していくものです。自分が嫌だと思いながら接していると、相手に悟られてしまいます。それには、従業員満足が必要になります。従業員満足の低い企業は顧客満足を得られる対応ができるとは思えません。従業員満足度を上げるためには、従業員が心から笑顔でいられるような環境が必要になります。

 

 では、従業員満足はどこから来るのでしょうか。給料が高ければ満足するということはあるにはあるのですが、それとは異なるところです。士気や社会的貢献、会社への愛着心、やる気を上げるというものです。従業員、代表者も同じだと思いますが、自社の商品を売って、お客さまが喜ばれればうれしいはずです。当然士気も上がります。「あなたのサービスがあったから、私はこうして生きていける」といったことをいわれれば、モチベーションが上がると思います。「顧客から感謝をされる」「世間からの評判が上がる」といったことから顧客の満足や感謝を受け取ることができるのではないでしょうか。

 ただ、顧客からの感謝を受けると言っても、なかなか言ってもらえないものです。「あなたの商品がよかった」とわざわざ電話してくる人はそうは居ません。

 

|お客様の声の可視化

では、これらをどのようにして取っていくことができるでしょうか。お客さまの声を可視化する仕組みが必要で、テキストマイニングの話になります。先に紹介した本には、なぜサイレント・クレーマーになるのかということが記載されていまし。

「伝えても改善されない。だからいわない」

「もともとどこに伝えたらよいのかが分からない」

「伝えることで仕返しをされるのではないかと思う」

といったことが顧客心理にあり、声を出さずに去って行ってしまうそうです。

 現在、私がお勧めしている方法はハガキです。こちらに「株式会社何々 代表取締役宛(行き)」とし、このハガキが代表取締役に直接届くことを明記する方法です。これをとある通販会社でテストをしました。①社長宛にしたものと、②通常の宛先で2,000枚ずつ商品同梱してもらいアンケートを取りました。通常の宛先はレスポンス率が0.6%で、社長宛は、およそ倍の1.1%でした。社長宛にすることでおよそ倍の数が返ってくることが分かりました。また、②に対して、①は要望・質問が、2倍の割合で返却され、同じく好評は4倍でした。苦情の割合は、半分となりましたが、実際の件数は変わらないのです。つまり、社長だったら、要望や質問を聞いてくれるのではないかという顧客の心理の現れだと思います。

 アンケートを、毎月取っていくことで定点観測をすることができます。実際にはどういう声が、どれくらい増えて言っているか、好評の声、感謝の声が増えているのか、減っているのかといったことが分かります。社長宛にするハガキですが、プレゼントは必要ありません。「これを送っていただくと、こういう商品が当たります」といった内容にすると、返却の枚数は多くなりますが、気持ちが歪みます。活用するために必要な声は、お客さまの素直な気持ちです。社長に届く形にし、「何かありましたら社長までお知らせください」や、もしくは、「クレームがあれば、社長の私がお受けいたします」といったことを記載したりしてもよいかと思います。そうすることで、改善に必要な苦情・クレーム、質問、要望等を取ることができます。枚数を稼ぐよりも中身が大事です。

 

|お客さまからの要望・質問について

要望、質問は、商品開発やサービス向上に活用することができます。ネガティブな声を集約することで、自社の改善点を可視化することができます。ポジティブ情報の集約は社内で情報共有することでモチベーションが向上し、商品やサービスを提供するための有益な情報になります。定点観測すれば、改善しているか否かを可視化することができます。

 ただし、私はネガティブな声を直接現場の社員に読ませることは反対です。中には非常に汚い言葉で書いて来られる方が居られますので、それを読むことによって心のダメージを強く受けてしまいます。ですから、ネガティブな声は上層部が集約し、それを解析した上で、どう改善したらよいかという改善点のみを社員に下ろす方がよいのではないかと思います。その点でも、「社長宛」であることは、社員の目に触れる情報を選択できるので、とてもよいのではないかと思います。

 中には、忙しい社長がすべてに目を通すことができるのかということから、社長宛に送るのはどうなのかという意見もありますが、その場合はテキストマイニングを行い、ある程度集約した内容のみを社長に届けるという方法でも良いと思います。

 もし、社長からお客さまに対して、「貴重なご意見をありがとうございました」と返せば、そのお客さまは、会社や販売している商品のファンになる可能性が高まります。それは、顧客ロイヤリティーを高める効果があります。このように、ネガティブ・ポジティブによって内容を変え、お客さまを固定化していくということも必要です。

 

|まとめ

ポジティブな声は、新しいお客さまと社員に還元しましょう。お客さまに還元するということは「当社の商品にはこういう声があります」とお知らせすることです。ただし、薬事法等が関係してくる場合もありますので、返し方には注意が必要です。社員はポジティブな意見を読むことで、自分たちがお客さまからの支持を受ければ受けるほどモチベーションが高くなります。ネガティブな意見は改善案として社員に還元することが重要です。ネガポジはサービス向上や改善、商品開発のために利用しましょう。

 

商品評価についてですが、テキストマイニングのツールだけでは、実はなかなか見つかりません。見つける方法としては、「何々はよいが、何々はよくない」「何々はよくないが、何々はよい」と言った係り受けを探していく方法があります。

 

|言葉の本質について考える必要性

次に、「言葉の本質を考える」ことについてです。アンケートハガキを取ると、「価格を下げてほしい」という意見が数多く返ってきます。では、価格を下げてほしいという要望にはどのように答えたらいいのでしょうか?

価格を下げてほしいとは、商品価値を認めてもらえていないということです。お客さまには、商品価値を理解してもらうよう説明をしなくてはなりません。廉価版を作ったり、価格を下げたりすると、収益に影響します。自分たちが愛情を込めて作り上げた商品の価値をきちんと理解してもらうための説明が足りないということです。


 テキストマイニングで必要なのは、「本質を考え見抜く」力になります。どうすればきちんと価値を理解され、購入してもらえるか考えていかなければなりません。これがテキストマイニングの面白みかと思います。

 

|研修内容について

せっかくですので、本日はいつも実施している研修の内容を少しお話ししたいと思います。顧客対応は初動10分といわれています。以前、『警察24時』のようなテレビ番組を見ていたとき、警察の110番のオペレーターが並んでいる後ろに「初動が命」と書かれていました。苦情・クレームがあった場合、悪質クレームか、本当の苦情・クレームかを見分けることも、この10分にかかっているといわれます。

 はじめのお詫びの言葉ですが、使い方によってはすべて認めてしまうことになったり、逆にお詫びの言葉1つで相手を気遣ったり、非常に重要です。このとき「申し訳ございません」とはいわず、「ご迷惑をおかけしています」といった方がよいといわれています。主観的に謝罪をするか、客観的に謝罪をするか、「あなたの状況を見て、ご迷惑をおかけしているようだ」という流れでお詫びをします。本当かどうかは分からなくても、まず相手を気遣うことが必要です。

 

次に、担当者として何ができるかという話です。逆にいうと、苦情の電話をしたとき、最も腹が立つのは、たらい回しにされることです。「ちょっと待ってください、私は担当ではないので、担当部署に」といわれていると、最初は冷静だったお客さまも、だんだん腹立たしい気持ちになり、ヒートアップします。ここで担当者として何ができるかというと、「私はあなたの担当なので、苦情の内容は私の担当ではないが、私はあなたの担当になります」ということを宣言することです。「だから私にまず、すべて話してください」といいます。「私は解決できないかもしれないが、私があなたの代わりに社内と交渉します」と伝えることで、相手の信用を勝ち取りましょう。

 また、初動10分の聞き取りで、相手の言っている内容を時系列にすることも重要です。話を聞きながらメモを書いてください。録音という方法もありますが、録音は後で聞くしかありません。メモ書きをしていくと矛盾点が出てきた場合に一目瞭然で分かります。必ずメモ書きで時系列を作成し、おかしなところがないか、矛盾点がないかを確認しながら、徹底的にヒアリングをしましょう。もし矛盾が出るようであれば、さらに聞くことによって、必ずおかしなところが出てきますので、その瞬間に切り返すことが大事です。

 

それから、お客さまの要望を具体的な言葉にしてもらいましょう。悪質なクレーマーがよくいうのは、「誠意はお金だろう」ということです。こちらに非があり賠償しないといけない場合、金額は相手から言ってもらう必要があります。例えば、こちらから賠償として1万円支払うといった瞬間、「あなたの気持ちは1万円程度か」と返してくることがあります。相手に土俵に乗られないよう、お金と言うならいくらほしいのかをまず聞き、イエスかノーかを回答します。具体的に相手に言葉に出し、何を期待しているのかを出してもらうことが重要です。

 最後に初動における商品やサービスの瑕疵判断についてです。自社の商品が本当に悪かったのか、つまり、瑕疵があったのかの判断です。この段階で聞かないと、二度と聞くことはできません。なぜ先の段階でいわなかったのかと、おかしなところで炎上していきますので、初動が非常に大事だということは研修でもお話ししています。

 

|苦情・クレーム対応の言葉

自社に非がある場合は、誠心誠意を持って素直に謝ることが大切です。素直に謝れない理由にはプライドが高かったり、謝ることは自分の評価を下げたり、自尊心に傷がついたりといったことがあります。アウトプット全集と言う本には、謝れるときに謝れないと評価が下がるという調査の結果がでていました。もし自社に非がある場合、きちんと謝れるときには謝った方がよく、その方が、評価が上がるということが実績値で出ていました。謝ることは何も悪いことではなく、やはり非があるときには素直に謝りましょうということです。

 もう1点、これだけで苦情・クレームに対応できる言葉があります。ヒアリング=聞くという言葉をよく使いますが、「聞く」ではなく、「教えてください」。この言葉だけでまったく対応が変わります。「教えてください」といわれると、本当にクレームを持っている人は「この会社は自分の話をきちんと聞いてくれるのだ」と感じ、心地よく聞こえるのです。ところが、悪質クレームの場合は、徹底的にヒアリングをされることは「うっとうしい」と感じます。「教えてください」というこの言葉1つで、悪質と優良なお客さまの違いを見分けてください。こういったことをワークショップで実施しています。

 

|テキストマイニング(応用編)

人それぞれなので違って当たり前です。ただし、会社として動く場合は、考えや行動を統一しないといけません。しかし、他人が何を考えているか分からなければ、意思の統一は絶対にできません。テキストマイニングの応用で、人がどう考えているかということを知る方法があります。例えば、一つの文章を読み、個人でカテゴリー分けすることで、相手の考えが分かることがあります。他人は、この文章にどういった考えを持っているのかということです。違っているのは当たり前のことですので、違っているところをどう考えていけば、会社として統一した考えや行動をしていかないといけないのかがわかります。


皆さんの社内でも実践してみると、おそらく皆さん違う考えがわかります。同じ部内でも意識はまったく異なりますので、何が違うのかということを理解するために、この方法は非常に有効だと思います。


|担当者の意識レベルの差

 私の考え方ですが、担当者が異なると、対応にばらつきが出るのはなぜかということですが、先ほどお話したように、従業員の経験からくる意識レベルに差があることです。考え方が違ったり、内容が違ったりということで、同じ問い合わせをしても違うことをいわれてしまいます。苦情・クレームを対応している内容や状況ではなく、従業員の受け止めによって差異が出るので、この部分をきちんと統一していく必要があります。対応を間違えると、いわゆるクレーマーを作ってしまいます。私のところに来る相談で、何かおかしいのでよくよく聞いてみると、従業員がお客さまを「怒らせている」場合があります。手に負えない状況になってから、相談を受けるのでどうしようもありません。初動対応の研修を受けてもらえれば、確実に対応することができます。

 なかには、従業員がいつ豹変した顧客の攻撃を受けるか分かりません。いつ豹変するか分からないから怖いと考えること自体も従業員満足の低下につながります。この感情があると、余計に深みにはまります。従業員を守るためには、日頃のリスク管理が必要です。リスク管理には、愛が必要なのです。


|MECE

 私たちが提案をする顧客管理方法は、必ず顧客を漏れなくダブりなくという状態にすることから始めます。お客さまをMECEにすると、優良顧客と悪質顧客に分かれます。優良な顧客か、悪質な顧客かを間違えないことと、会社としての対応を考えておくことが大切です。目の前のお客さまは、優良顧客なのか、悪質顧客なのかという線引きがきちんとできていたら、従業員は判断に困りません。これも先ほど実践していただいたことと同様ですが、こういう場合、ああいう場合となると現場では混乱が生じます。会社としてどう判断するか、意識の統一が必要です。

 優良顧客と悪質顧客から成り立ち、中には優良顧客が悪質顧客に変わってしまうことも当然あります。対応が正しければ顧客ロイヤリティーが高まり、一生涯のファンになります。誤って悪質な顧客に対し、顧客ロイヤリティーを高めるような対応をしてはいけません。もっとひどいことになりかねません。そうならないためにも、顧客の選別は必要です。ある商品やサービスに対し感じる信頼や愛着度を示すのが顧客ロイヤリティーです。一般的に、顧客満足が高まると顧客ロイヤリティーが高まるといわれています。

 顧客ロイヤリティー、顧客満足、従業員満足は、つながっています。では、どこから行うのかというと、やはりコントロールが効くのは従業員満足からだと思います。顧客満足を高めましょうと、顧客に対し「満足でしょう」という押し付けをしたら、結局そこは押し付けに過ぎず、満足にはなりません。従業員満足を高めることで顧客満足をあげ、顧客ロイヤリティーを高めることで、結果売上は上がります!!

以上で、本日のお話を終わります。

(拍手)

株式会社HAZS 代表取締役 東 弘樹様
株式会社HAZS 代表取締役 東 弘樹様

1990年、大手クレジット会社に入社、16年債権管理業務、決済関連業務などに携わる。2006年、通信販売企業向けソフトウェア開発・販売会社を経て、2007年にHAZS株式会社を設立。2014年には筑波大学大学院にて「通販の債権管理」を研究テーマに、2017年博士を授与。独自に確立した「ネオリスクマネジメント」にて、成長する通信販売事業様やネットショップ運営者様をサポートしている。主に債権管理・決済管理・苦情クレーム・情報セキュリティなどに精通している。日本ダイレクトマーケティング学会、日本生産管理学会 正会員。数々のメディアにて連載、コラムを提供。

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