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~最新調査結果から分析~ アフターコロナの中国人消費者像と中国マーケティングの考え方

株式会社ヴァリューズ
執行役員 
子安 亜紀子

ネットイヤーグループ株式会社、株式会社マクロミルを経て、2011年よりヴァリューズに参画。
現在は執行役員として、事業企画・マーケティング部門の統括を担当している。
2016年より、アンケートやSNSデータ等を活用した中国マーケットの調査を推進している。



目次[非表示]

  1. 1.自己紹介
  2. 2.会社概要
  3. 3.新型コロナウイルスによる中国消費者の変化
  4. 4.メディア接触の変化
  5. 5.購買行動の変化
  6. 6.旅行意向の変化
  7. 7.金銭感覚・ライフスタイル消費の変化
  8. 8.アフターコロナ中国市場へのアプローチ

本日は、アフターコロナの中国人消費者の変化、中国マーケティングの考え方を中心にお話をさせていただきます。

自己紹介

株式会社ヴァリューズはリサーチを中心に行っている会社です。私は役員としまして2011年から従事しております。ビッグデータ等を活用しながら、世の中の動きやマーケティングを分析しております。


前職はマクロミルという調査会社に在籍しておりまして、マクロミルが黎明期のときに日本にネットリサーチ文化をつくっていくことを目指し勤務しておりました。長らく、調査に携わっております。

会社概要

株式会社ヴァリューズは、マクロミル出身の辻本が立ち上げた会社です。日本や海外を含めたインターネットの行動分析ビジネスをメインで行っております。人のネット上の動きを捉え、消費者のインサイトを発見するような分析を中心的に行い、バイドゥ様とも認定調査パートナーとしましてご一緒にお仕事をさせていただいております。


主なサービスが4つございます。サービス1つ目として日本人の行動分析はもちろんのこと、2つ目としまして2016年から海外市場調査にも携わらせていただいております。主に中華圏の調査、東南アジアを含めたマルチカントリーの調査も行っております。ほかにも3つ目としてCDM(カスタマーデータマネジメント)、4つ目としてやターゲティングプロモーションも行っております。


中華圏の調査サービスについて、もう少し詳しくご紹介しましょう。1番多く行っているのがインターネットリサーチです。パネルの方にアンケートを実施し、さまざまな分析を行っております。それ以外にも、中国8大ECモールで日本のどの商品が売れているのか等を分析、ソーシャルリスニング、サンプリングやオンラインインタビューも実施しております。


本日はコロナの話を中心にさせていただくのですが、NAVERのネットリサーチを活用したデータから分析させていただいております。


では、早速本題に入っていきましょう。


新型コロナウイルスによる中国消費者の変化

本日は大きく分けて4つの観点からお話いたします。

①    メディア接触の変化

②    購買行動の変化

③    旅行意向の変化

④    金銭感覚・ライフスタイル消費の変化


今回のデータは2020年6月中の1週間に中国全土で取得した1071のデータサンプルから語らせていただきます。

メディア接触の変化

ロックダウン中、ロックダウン明けに接触したメディアに変化があったかのリサーチ結果をお話いたします。ロックダウンにより結果的にインターネットに触る時間が増えており、どういった媒体を利用することが増えたのかを分析しております。

上記資料をご覧ください。質問の軸は2点で、ロックダウンにより新しく媒体を利用したのか、使う時間が増えたかどうかで調べており、調査結果はどちらも増加しております。


特徴としまして、新しく増えたメディアについてはニュース系、ショートムービー系が増加しています。利用時間についても、もともと中国の方はメディアを多く利用されますが、さらに増加している傾向にあります。


SNS、ショートムービーについて内訳をお話いたしましょう。サービス別にアンケートを取得した結果ですが、SNSについてはWeChat、Weiboは一般的になっていますので新規利用率は上がっていませんが、WeChatの利用時間が増えたと答えた方は72%と急増しているのがわかります。基本のコミュニケーションツールとして相当接触量が増えたのではと思います。もう1つ特徴的なのはQ&Aアプリ、知乎(zhihu)の2割増加です。コロナの影響もあり不安の中、疑問や噂についてご自身で調べる方が増えたいうことが想像できます。


続いてショートムービーです。抖音(TikToc)や快手(Kuaishou)というアプリの利用時間が伸びており、特に抖音(TikToc)については5割以上の方が使う時間が増えたと答えています。空いた時間にショートムービーを見て楽しんでいた方が増えていたと考えられます。


今出てきたアプリについて知らない方も多いですので補足をしていきます。


知乎(zhihu)とは、利用者数2.2億人越えのQ&Aサイトです。経営層や高学歴の方の利用が特徴的で、自分で調べる方がQ&Aで聞きスッキリするといった悩んだ際の情報源として使われるサイトです。


抖音(TikToc)とは、日本でも普及しているショートムービーアプリです。中国版は日本よりも機能が充実しており、生放送や動画からECサイトに飛べる機能もあります。


快手(Kuaishou)も非常に利用率が上がっており、抖音(TikToc)に加え中国の2大ショートムービーアプリと考えられています。日々の暮らしを撮影しログとして楽しんでいる方が多いように思います。


上記のメディア、ショートムービーの利用増加が、コロナ禍のメディア接触の特徴として捉えております。


上記のメディアにWeibo、WeChatを加えた合計5つのアプリを性年代別で比較し、新規利用率や利用時間の増加を比べてみましたので見ていきましょう。


抖音(TikToc)、快手(Kuaishou)は、面白いことに男性40代や女性40代の新規利用率が増加しているのがわかります。ショートムービーのメディアは若い方向けのイメージが強いですが、コロナのロックダウンの影響により、幅広い年齢層に浸透しているのではないかと考えられています。私ども会社の中国人スタッフと話していても、お母さんがショートムービーを利用し動画や情報を送ってくれるようになった等の話もあります。

購買行動の変化

続いて、購買行動の変化です。コロナのロックダウン中にどういう物を購入したか、逆に購入しなくなったかをまとめた結果を下記資料を見ながらお話しましょう。

購買率が伸びているのは、医薬品、お菓子、サプリメント等の家の中で使う物、健康に役立つ物の消費が増加しています。一方で、お洒落をするニーズが下がってしまったため、アパレル系、コスメアイテムを買わなくなってしまった方がロックダウン中かなり増加しています。


中国はいち早く復活しつつありますので、その後どのように変化したのか気になるものです。ロックダウン解除後、買うようになったのかどうかもデータを取得しております。


ロックダウン時、アパレルや化粧品の購買を控えた方が多かったのですが、解除後は再び増えており復活している様子が見受けられます。一方、時計、眼鏡、アクセサリー等の装飾品についてはまだ完全に戻っているとは言えない状況がわかります。解除後、綺麗でありたい、美しくありたいという気持ちは戻りつつあるのが予想されます。


さらに、ロックダウン解除後にどこの国の商品を検討・購入したのか、というデータも取得しております。商品項目は、アパレル製品、化粧品、育児用品、お菓子類、医薬品やサプリメント、加工食品、シャンプーなどの日用品、掃除用具などの日用品、美容家電、キッチン家電です。


見ていただくと基本的に国産(中国産)と答えている方が多いのですが、化粧品、コスメについては国産がトップの6割です。国産に続きアパレルを除き日本が2位となっており、全体的に見ても日本の製品を検討、購入した方の割合が高くなっています。アパレルでも国産、アメリカに次いで日本が3位となっています。もともと越境ECの影響で日本製品、韓国製品を買いたいという方が多いのですが、ロックダウン解除後に意欲が増加し始めているのがわかるかと思います。


ロックダウン解除後のECの利用状況データを見ていきましょう。やはり淘宝(Taobao)、天猫(Tmall)、京東(Jingdong)の新規利用率がTOP3となっており、圧倒的なシェアを獲得しています。ここで面白いと感じたのは、拼多多(Pinduoduo)の新規利用率の増加です。ロックダウン中2割ほど増加し買い物を試みた様子が見られます。拼多多(Pinduoduo)は、オンラインショッピングとソーシャルメディアを融合させたECプラットフォームです。WeChatで仲間を募り、皆で購入することで安く買える点が強みとなり非常に伸びています。


コロナ前から伸びていましたが、ロックダウン中に消費者の方々がいろいろとチャレンジする中で安く購入できる拼多多(Pinduoduo)の支持率が上がってきたと考えられています。


次に、ロックダウン前から解除後にかけてECでの購入商品に違いが出ていたかどうかマップで分析を行いましたので、結果を見ていきましょう。横軸がロックダウン前に購入していた商品、縦軸がロックダウン解除後に継続して購入した商品です。ロックダウンを経て購入に違いがあるのか見たくマップにしたのですが、ロックダウン前と解除後に大きく後退する商品はなく、ECで買える物についてロックダウン中は影響はあるものの、ロックダウン解除後に戻っている様子が伺えます。


最後に、ECで購入した商品の産国、産品についてもアンケート分析を行いましたので、結果をお伝えいたします。ロックダウン前、ロックダウン中、ロックダウン解除後でアンケートを取得し、どれだけ回復したのかを見ております。ECにこだわらず、まず購入するなら国産ということもあり国産の商品がロックダウン解除後102.9%としっかり回復してきています。海外製品でいいますと、日本が回復率65.3%と2番目に高く、ほかの国々と比べ購買意欲が高いことがわかります。

旅行意向の変化

次に、海外旅行についてです。海外旅行は物理的に行くことができるかという問題が大きく関わりますので、あくまでも消費者の方の意向としてアンケートを取得したものになります。「コロナが収束したら海外旅行に行きたいですか?」と聞いたところ、2/3の方が行きたいと回答しています。「行きたい国はどこですか?」というアンケートに対し、日本が25.8%と圧倒的なシェアを獲得しており、潜在需要がこのデータから感じられると思います。


「いつ海外旅行に行きたいですか?」というアンケートも取得してみたところ、思ったよりもポジティブな回答が出ており、国慶節である10月に行きたいという方が15.6%もおり、そのほか冬休みや春節をイメージしている方が多いようです。環境さえ整えば恐れず旅行に行きたい方が多いですが、コロナの収束や旅行先のウイルス対策、現地の方が観光客に対し友好的なのか、医療体制などを気にしている回答が出ております。中国からのインバウンドを獲得するためにも不安感を払拭しなければならないということが、このデータから読み取れるかと思います。

金銭感覚・ライフスタイル消費の変化

最後にライフスタイル系の消費についてです。金銭意識・消費意向の現状では、抽象的な回答にはなりますが、なるべく節約を心掛けている、無駄遣いをしないと回答した方が54.5%、計画を立ててお金を使うと答えた方が50.8%もいらっしゃいます。コロナ後の特徴として無駄遣いをしない、計画的にお金を使いたいという意向がかなり目立っています。


中国の方はロックダウン解除後、購買意欲が高まっているとお伝えはしていますが、ライフイベント系の商品はもう少し回復に時間が掛かりそうです。結婚、不動産、引っ越し、転職金融商品、保険商品の購入などを比較し、ロックダウン中に中止した行動、ロックダウン解除後に実施した行動を折れ線グラフで見ていきます。保険については今後に備える意欲が高まり数字が伸びていますが、それ以外は全体的に動きが鈍くなっています。楽しむための消費は増えていますが、思い切った買い物についてはやはり気持ちが戻ってきていないことが言えます。


まとめ

4つの観点について、各々まとめさせていただきます。


① メディア接触の変化

ネットの利用量・利用世代が拡大。動画利用が増え、特に40代などの高めの年齢層にもリーチしやすい環境に。


② 購買行動の変化

EC利用のさらなる拡大。コロナの影響により一時的に減っているアパレル、美容領域を含め、アフターコロナで消費が戻ってきている。日本商品のニーズも回復してきている。


③ 旅行意向の変化

旅行意欲は高い。コロナが収束すれば、国慶節(10月)や春節(2月)にも旅行したい気持ちが強い。


④ 金銭感覚・ライフスタイル消費の変化

節約して備える意識が強い。大型商品(住宅、結婚)の消費への動きはまだ鈍い。


アフターコロナ中国市場へのアプローチ

後半は、変わりゆくアフターコロナ中国市場へのアプローチとして、どんな施策が有効的なのかを調査会社の観点からお話させていただきます。


アフターコロナは商機が大きいと考えておりまして、一番大きい点としましては越境ECが響きそうと感じております。デジタル市場ですが、より世代を問わず購入しやすい状況が整ってきています。環境次第ではありますが、インバウンドは日本人気が衰えておらず、保険や未来に対する投資への意欲は高いことから、デジタルメディアを活用し認知度を上げていければ、商品販売・認知拡大のチャンスではないかと捉えております。


私どもが中国で販路拡大したいと考えているお客様と話している中で、「中国プロモーションは短期視野になりやすい」という課題をよく耳にします。ゴールが見えないためとりあえず3か月で販売するような戦略になりやすく、継続的なアプローチができず、結果としてブランドが立たなくなってしまうのです。


また、「中国プロモーションは施策ありきになりやすい」点も課題に挙げられます。日本とは異なる市場のため、中国独自のマーケティング、KOLでとりあえずプロモーションを打つなどの施策になりやすく、二の足を踏んでしまうという話をよく伺います。


プロモーションのPDCAをしっかり回すことが非常に肝心で、ここを大切にすれば短期で終わらず結果が出せる施策の実施が可能です。


ヴァリューズでは中国のデータを活用し、アンケートやインタビューにより消費者の今を知ることに特化しておりますので、PDCAの仮説立てをデータで分析でご支援し、実際に上手くいったのかのチェックもデータを活用しお手伝いすることができます。


マーケティングを強化する際に「誰が購入するのか」「どういう方が購入する可能性が高いのかわからない」という課題に直面することが多くあります。その際はターゲットの決定からお手伝いし、カスタマージャーニーの設計を行います。そうすることで、口コミで調べる、気になってきたら知乎(zhihu)で調べる、その後に淘宝(Taobao)でチェックする、最後に天猫(Tmall)で購入するなど、物を買うときのプロセス、どのメディアで認知させるか、検討した後の具体的な行動を、ジャーニーとして理解することができるようになります。


PDCAのCheck(C)については、いわゆるKPIの計測をしていきます。ECもそうですし、インバウンドもそうなのですが、「どれくらい売れたのかだけがゴールになってしまい、中間地点で何が上がっていれば良いのかわからない」というご相談を多くいただきます。ヴァリューズであれば、数字をビッグで分析するような調査も行うことが可能です。


では、どのようにビッグデータを活用しているのか、簡単に事例をご説明しましょう。

例えば日本の歯磨き粉の効能を例にしますと、中国の方にどれだけ伝わっているのか、を調べるためポジショニングマップを書かせていただいております。歯石の沈着を防ぐ、歯が染みるのを防ぐ、などの効能をグレーに、商品の距離の近さは似た商材であることを示しています。ポジショニングマップを作り、商品の訴求ポイントとズレているようであればマーケティングを変更するなどの施策に役立てることができます。


カスタマージャーニーの作成の事例としては、その商品に対してどのように思っているのか消費者に直接伺うことで、知るための認知経路から購入経路までわかるようになります。また、購買ファネルで他社製品とKPIを比較することで、どれくらいの方にリーチできているのかを可視化し、数字として目標設定をすることが可能です。検討される率をあと5%上げにいこう、認知度をあと5%上げにいこうなど、数値目標を立てることでプロモーションも立てやすくなります。こういった分析を四半期に1度行うプロジェクトなどを任せていただいております。


最後に総括です。

コロナの影響の中、変化が非常に激しい市場になっています。データを活用することでプランニング、仮説立て、結果に対する施策、戦略立てとして、中国マーケットへの販路拡大のお役に立てるのではと考えております。我々のオウンドメディア『マナミナ』でも多数、中国市場について触れておりますので、活用いただけますと幸いです。また、ぜひお気軽にご相談もお受けしておりますので、ご質問いただければと思います。本日はご清聴いただき、ありがとうございました。

株式会社ヴァリューズ 子安 亜紀子
株式会社ヴァリューズ 子安 亜紀子

ネットイヤーグループ株式会社、株式会社マクロミルを経て、2011年よりヴァリューズに参画。 現在は執行役員として、事業企画・マーケティング部門の統括を担当している。 2016年より、アンケートやSNSデータ等を活用した中国マーケットの調査を推進している。

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