
「アジア越境EC2020 ~各国ごとの必要な独自サイト戦略~」
スターフィールド株式会社
菊池 玄士朗
学生時代にバングラデシュにバックパッカーを行うなどグローバルに活動。
今よりも日本を誇りの持てる国にしたい、という想いを持ちスターフィールドに入社。
入社後はEC事業を担当し、EC販売経験を養う。
年々世界の中で存在感を増していくアジア市場。今回は、アジア市場全体が現状から中国、台湾、東南アジアの最新情報をご紹介します。
目次[非表示]
- 1.自己紹介
- 2.スターフィールド株式会社 『LaunchCart』の魅力
- 3.中国の越境EC市場概況
- 4.台湾の越境EC市場概況
- 5.韓国の越境EC市場概況
- 6.東南アジアの越境EC市場概況
- 7.国ごとで見ていきましょう。
- 8.中国 決済のポイント
- 9.中国 サーバのポイント
- 10.中国 サイト制作のポイント
- 11.台湾 決済のポイント
- 12.台湾 サーバのポイント
- 13.台湾 サイト制作のポイント
- 14.東南アジア 決済のポイント
- 15.東南アジア サーバのポイント
- 16.東南アジア サイト制作のポイント
- 17.中国、台湾、東南アジアのまとめ
- 18.決済に最も強みを持つ『LaunchCart』
- 19.関連情報
スターフィールドの菊池と申します。「アジア越境EC2020 ~各国ごとの必要な独自サイト戦略~」をテーマに、中国、台湾、東南アジアに分け、国ごとに必要な独自サイト戦略をお伝えしていきます。
自己紹介
私はスターフィールド株式会社 セールスチームの菊池と申します。大学時代はバングラデシュ、フィジーなどへバックパッカーとして旅し、その中で日本を今よりも誇りの持てる国にしたい、という熱い思いを持ち、スターフィールドに入社しました。
弊社パートのゴールを3つご用意しました。
① アジア越境EC市場の全体感を把握する
② 「対象国ごとにローカライズが必要」ということを再認識
③ どのようにローカライズする必要があるかを理解する
です。
アジェンダです。アジア市場の現状、中国の独自サイト戦略、台湾の独自サイト戦略、東南アジアの独自サイト戦略、最後にまとめという流れでお話していきます。
スターフィールド株式会社 『LaunchCart』の魅力
最初にスターフィールド株式会社が提供している『LaunchCart』をご紹介します。『LaunchCart』は越境EC、現地EC、アジアに特化したクラウドECカートシステムです。アジアに向けた販売を得意としており、台湾、香港、中国などの中華圏と東南アジアに強みを持ちます。越境ECサイト構築事例は2020年5月の段階で300社を超え、大手様から中小企業様まで幅広い規模の企業様にお取り扱いいただいています。
なぜ我々がアジアに特化しているのかといいますと、アジア市場が世界の中心になっているからです。2017年から2018年にかけてのEC消費財の成長率のデータを見ますと、上位の国々がすべてアジア諸国になっております。この点から、我々はアジアの伸び率が非常に高いということに目を付けております。また、市場規模の推移を見ていきます、アジアの伸び率は6年で6.7倍にまで成長しています。欧米が3倍ですので、比較すると異常な数値であることが分かるかと思います。2020年時点でアジアの市場が世界の半分を占めており、アジアに注力していくべきだと我々は考えております。
このようなアジア市場ですが、越境ECを行う要素が国ごとに大きく異なります。欧米ですと言語は英語、通貨に関してはドル、ユーロ、決済はクレジットカードかPaypalをご用意すれば販売していけますが、アジアは国や地域によってそれぞれ異なります。国ごとに狙うターゲット層が異なる、言語が異なる、ハラルにも考慮しなければならないなどがアジア市場の特徴です。
そういった各国ごとのローカライズを進めなければ、目指している越境ECでの成功はできません。それに対応できるカートシステムが『LaunchCart』です、
中国の越境EC市場概況
まず、中国についてです。日本、アメリカ、中国の3か国の越境ECポテンシャルをまとめたデータによりますと、アメリカは日本から1兆円程度消費しているのですが、中国はその2倍の金額、2兆円を消費しています。要因はマーケットの魅力はもちろん、距離的な理由が考えられます。
中国越境ECの全体市場規模は、2015年に3.4兆円でしたが、2020年7.4兆円まで伸びており、5年で2倍以上の市場に成長しています。
また、各メディアで取り上げていただいている通り、新型コロナウイルスの影響があり、観光に来られない方々が「リベンジ消費」というかたちで越境ECを利用しています。こういった影響を受け、実際に『LaunchCart』をご利用のメーカー様も売上を伸ばしております。
中国ではモールによる展開が主流です。『T MALL』や『JD.COM』のようなモールに出店していくことが中国に対する越境ECと考える方が多いと思います。しかし、実際にはデメリットが多い点が懸念されています。
・そもそも出店が招待制、出店審査が厳しい
・大きなランニングコストが掛かる
・認知プロモーションが掛かる
・外部流入のトラフィックが分析できない
などの理由でマーケティングができず、赤字から脱出できないというお声もよく伺います。
そのような中、世界的なトレンドとしてD2Cがあります。顧客と中長期的に関係を築いて「ファン化」することが必要となり、モールでは難しかったブランディングや顧客関係構築をどのように行うか考え、独自サイトに踏み出す企業様が増えています。
台湾の越境EC市場概況
次に、台湾です。
『LaunchCart』をご利用いただいているお客様の販売先国で、圧倒的に多いのが台湾です。もともと親日国である、日系の支援業者が進出しやすい、広告まわり、距離などが理由として挙げられます。
『LaunchCart』ご利用企業様の商材比率では、全体の3/4が美容、健康食品です。越境EC全体に言えることですが、軽くて小さく、高価であることを満たしている点から定期で販売しやすいと考えられています。
韓国の越境EC市場概況
続いて、韓国です。
市場規模については、日本と同規模です。携帯の普及率が世界No.1でして、2018年の調査ではスマートフォンの普及率、所有率が95%となっており、ほぼ全員が持っている状態です。日本は、スマートフォンの普及率、所有率が80%前後ですので、その普及率の高さが際立っています。
モールと独自サイトが共存しており、個人で販売される方が増えており、独自サイトで販売することが一般的になっています。
越境ECから少し離れてしまうのですが、韓国ではECでの食料品の消費が非常に伸びています。中国、アメリカという大きい国々の次に韓国が来ており、日本でいうイオンのようなオフラインの店舗がECに参入するケースと、EC専門の食料品メーカーが入るケースがあります。食料品のEC市場規模は前年度比37%アップとなっており、サービスに関しても24時間以内の配送サービスがあるなど現地の消費者ニーズを捉えています。今後も年平均20%の成長率が見込まれています。
韓国の主要なモールについては株式会社LIFE PEPPER様がこの後詳しくお話してくださいますので、割愛いたします。
東南アジアの越境EC市場概況
東南アジアについてです。
ポイントはネクスト台湾と言われている点です。理由としては、台湾で成功された企業様が次に狙う国として、シンガポール、インドネシアなどの国が挙げられているからです。しかし、EMSが届かないという現状がありますので、現地に倉庫を持ち、注文を代理店の倉庫から発送するという現地ECでないと販売できない課題があります。
国ごとで見ていきましょう。
EC化率が一番高いのはシンガポールです。インフラや文化的にも進んでいるという理由が考えられます。規模としてはインドネシアが一番大きくなっています。年平均30%の成長率を遂げており、注目度が上がっています。『LAZADA』『Shoppe』といったモールによる展開が現状多くなっています。
中国 決済のポイント
ここから各国ごとの独自サイト攻略方法を決済、サーバ、サイト制作3つの視点からお伝えしていきます。
まずは中国の決済についてです。
中国での決済手段の80%が『Alipay』『WeChat Pay』『Union Pay』の3つで占められています。中国に出店するのであれば、こういった決済を押さえることが必須です。『Alipay』『WeChat Pay』はご存知の通りQRコード決済が進んでおり、中国の街中がQRコードだらけになっています。
中国 サーバのポイント
次に、中国で越境ECを行う際に、どこにサーバを置くのかが課題になります。日本にサーバを置いた場合、グレイトファイヤーウォール(GFW)が発生し、表示までに時間が掛かりそれまでに離脱してしまう可能性が高くなります。そのほか検閲も発生するため、おすすめはしておりません。
一方、中国本土に置くとどうなるかですが、表示速度は速いのですが、サーバ設置が非常に難しく、莫大な費用、コストが掛かってしまいます。さらに、中国でWEBサイトを開く際に必要となるICPライセンスの取得がかなり難しくなっています。越境ECを含める物販、オンラインビジネスを始める際は、ICP登録、ICPライセンス取得の2段階を踏まなければなりません。
そのような中、我々がおすすめするのは、香港リージョンです。香港は表示速度が速く、ICPライセンスを本土に置くわけではないため、必要ありません。クライドサーバを利用すれば低単価で利用が可能です。
我々がおすすめするクラウドサーバは、『Alibaba Cloud』です。こちら中国のアリババ社とソフトバンク社の合弁会社で、世界一のECイベントW11に耐える高性能サーバです。クラウドECですので使用量にあわせて低単価で使うことができます。中国向けであれば香港リージョン、特にクラウドサーバがおすすめです。
中国 サイト制作のポイント
中国のサイト制作についてです。
サイト制作について中国はかなり特殊でして、今回はSMSに絞ってお話いたします。日本ですと、メールを通したやりとりが多いと思います。メルマガ、お問い合わせもメールで対応している企業が多く見られます。中国を始めとして、ほかの国ではあまりメールは使われていません。中国の場合、Eメールの利用率は約30%です。メルマガなどのナーチャリングがしたくても、なかなか難しい状況になっています。
メッセージアプリの利用も国ごとで大きく異なっています。日本だとメールやLINEが主流ですが、国ごとで異なり、必ずしも同じアプリを入れているわけではないという点に注意しなければなりません。
そこでご提案しているのがSMSの利用です。SMS自体は電話番号があれば利用でき、意外と中国でも利用率が高くなっています。『LaunchCart』をご利用いただいている企業様であれば、必須でご利用いただいております。
中国のまとめです。
<決済> 三大決済を網羅した決済システムが必要
<サーバ> 香港リージョンがおすすめ
<サイト制作> メールでなくSMS/MMSに対応
今までモールが強過ぎるため、独自サイトは難しいのでは?というお声をいただくのですが、現在大手化粧品メーカー様をはじめとして、併用するかたちが増えています。中国向けでも独自サイトが有効になっていきています。
台湾 決済のポイント
台湾の決済事情を見ていきます。台湾では、越境ECの決済比率のうち66%が後払い、現地ECの決済比率のうち53.5%をコンビニ払いが占めています。コンビニの密度が世界2位となっており、公共料金の支払いを始め、受け取りにもコンビニが利用されます。
台湾 サーバのポイント
台湾については、日本リージョンで問題ございませんので、そのまま使用できます。
台湾 サイト制作のポイント
サイト制作については事例をご紹介しながらお話していきます。
ポイントの1つは、郵便番号が逆引きという点です。日本では郵便番号を入れると住所が自動入力されますが、台湾では逆に市区町村が先になっています。理由は、郵便番号を覚えている方が少なく、細かな点にローカライズしていくことでカゴ落ちや離脱を防ぐことができます。
2つ目は、スモールスタートです。某大手メーカー様の化粧品の事例ですが、台湾に進出される際にまずはLPを作り試していきたい、という進め方で始められました。結果、LPを作成していく中でブランドサイトが必要になり、総合サイトを作成しております。現在はLPと総合サイトをあわせて利用しております。
台湾に限らずですが、LPを複数作ってから総合サイトをつくる、総合サイトを先につくり、何品が抜粋し単品LPで販売するなど、どちらも台湾で有効な施策になっております。
台湾のまとめです。
<決済> コンビニでの後払いが多い
<サーバ> 日本リージョンで対応可能
<サイト制作> 住所の入力フォームは日本と異なる
上記を押さえながらローカライズしていく必要があります。親日国家であり、定期購入という発想が浸透していますので、どこの国から越境ECを始めるべきか迷う方にぜひおすすめしたい国です。
東南アジア 決済のポイント
シンガポールを除いたほかの国々では、クレジットカードが浸透していません。その代わり、代引き、電子決済が普及しています。特に注目いただきたいのは、リープフロッグ現象です。リープフロッグ現象とは、先進国が歩んできた歴史を飛び越えて最新の技術を追い越すことを意味しています。日本がクレジットカードを挟んで電子決済に進んでいったのに対し、リープフロッグ現象により東南アジアでは電子決済が使うようになっています。携帯も同様のことが言えまして、日本が固定電話、フューチャーフォン、スマートフォンと進化していきましたが、アフリカではいきなりスマートフォンに進んでおり、これもリープフロッグ現象といえます。
東南アジアの決済事情としましては、代引きが大多数を占めています。クレジットカードが普及していないため代引きが主流になっていますので、決済についても現地で利用されているものか確認しながら進めながらつないでいく必要があります。
東南アジア サーバのポイント
東南アジアは、対象国の近くのリージョンを使えるかどうかがポイントになります。対象国が複数ある場合には、シンガポールをおすすめしています。シンガポールは多民族国家で言語の面もさまざまな人材が揃っており、インフラも安定しているため、スムーズに進めることが可能です。
東南アジア サイト制作のポイント
中国のところでも触れましたが、メールがあまり使われていません。その代わりにメッセンジャーアプリが使われており、国ごとに使われるアプリが異なっておりまして、メッセンジャーの中で購入する「チャット購入」という文化が強くなっています。
タイの例では、ECサイトでは電話番号と名前だけ入力し購入を完了させる、そこからCSの部分で電話、メッセンジャーでやり取りをしていく、という流れになっています。値引きというのが発生したときも、電話やメッセンジャーでのやり取りが必須になります。
東南アジアのまとめです。
<決済> 多くの国では代引きがメイン
<サーバ> 対象国に近いリージョンを
<サイト制作> サイト外の対応も必要
中国、台湾、東南アジアのまとめ
<中国>
三大決済への対応が必要
サーバは香港リージョン
<台湾>
コンビニでの支払いが多い
親日、支援事業者の多さが特徴
<東南アジア>
代引き決済がほとんど
サイト外での注文対応
各国ごとのローカライズポイントは、およそ決済とサイト制作になりますので、この部分に機能がしっかり揃っているものを選ぶことが重要です。
決済に最も強みを持つ『LaunchCart』
最後に、『LaunchCart』の補足をさせていただきます。『LaunchCart』は冒頭でもお伝えした通り、越境ECに特化したカートシステムです。世界90%以上の通貨に対応しており、アジアについては、ほぼすべての国に販売することが可能です。単品LPでの販売や総合通販というかたちも両方を得意としております。越境EC、現地EC、現地からの越境ECなど、すべてのステップに対応しております。
単品LPと総合通販が同一の管理画面から操作することが可能でして、仮にLP10枚と総合通販1枚という場合でも管理画面、アカウントとしては1つになりますし、総合通販が複数並ぶ場合でも管理画面は1つで操作可能です。管理画面も多言語化しておりますので、現地のスタッフに操作いただいてもらうこともできます。
個人的に一番強いと感じているのは、決済です。ほかのカート様ですとクレジットカード、Paypalと中国決済どれか1つになることが多いのですが、『LaunchCart』であれば、中国三大決済すべて、後払い、COD、銀行決済も対応しております。最近ではミャンマーで34種類の決済に接続した事例もあり、ここまで決済面がローカライズしたカートはほかにないと思います。3/4が化粧品、健康食品のメーカー様ということがありますので、定期機能も国内のECサイト同様に利用することができます。
『LaunchCart』の導入については、対象国を選ぶ、比較段階からも可能ですし、組み込みからなど、どこからでも柔軟に対応可能です。お気軽に何でもご相談いただきますと幸いです。ご清聴ありがとうございました。